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概要

20_1964-1983

年が改まつて1カ月,悪魔に魅入られたように, 日本の空で航空機事故が相次いだ。僅か1カ月の間に3機ものジェット機が砕け落ち,321人の命が散ったのをはじめ,年末近くになつてまたも50人が松山沖に沈むなど,航空事故史上決して忘れられない年となつた。しかし,相次ぐ空の惨事にもかかわらず,ひとたび燃え始めた海外旅行熱は結果的に衰えることなく,持出し外貨の再緩和や団体航空運賃の値下げとも呼応して,前年比34%増を記録することになつた。1966年は航空事故が相次いだ。国内では, 2月4日,全日空B-727型機が東京湾に墜落して, 133名全員死亡。3月4日, カナダ太平洋航空DC-8型機が東京国際空港(羽田)に着陸失敗,乗客等64名死亡。3月5日,英国海外航空B-707型機が富士山麓に墜落,124名全員死亡。8月26日, 日本航空コンベア8∞型機が乗員訓練中に炎上,航空局検査官1名,乗員4名死亡。11月13日,全日空YS-11型機が松山沖に墜落。50名死亡。これらの連続事故発生は国内線,国際線に影響をもたらした。ちなみに, 日航の東京/大阪線では,前年同月比で2月38%減, 3月54%減, 7月22%減, 8月17%減となり,通年では国内線定期輸送実績は対前年比6%減となった。国際線では,出国日本人の指数を見ると, 1~3月は上り坂傾向にあったのが, 4~ 5月で激減。後半11~ 12月も急落した。事故の影響は一般募集のツアーにも現われ, 3月下旬出発予定のジャルパック「アメリカ春の旅」は申込者10人がキャンセル.ただ1人残った長野県の医師、島田三郎氏に対して旅行あっ旋をしたIl本交通公社は,添乗員付きの“1人の団体旅行"を催行した。Iθイ●昭和イノ字運輸省では連続事故発生を契機に 3月17日,航空整備5ヵ年計画を決め,翌年度からの実施を示唆。また日航,全日空,東亜,国内空,長崎の定期航空5社は, 4月25日,航空技術安全協力委員会(ATAК O)を設立,大庭哲夫。日航常務取締役航務本部長(当時)が委員長に就任した。一方,海外では, 1月24日,インド航空B-707型機がモンブランに衝突,117人死亡。パキスタン航空B-720-B型機の着陸事故で121人死亡。また, この年,モントリオール協定が発効して、米国発着。経由旅客の賠償限度額は7万5,000ドルと決定した。常時で1万2,600円,オフ・シーズンでは2万3,800円の値ドげになった。また,団体割引運賃は在来の25人以上の枠に70人以上という大型枠を設け,東京/米西海岸諸都ilFで1人18万円、東京/ホノルルを14万4,000円とした。新設された包括団体旅客運賃(GIT)は、東京/サンフランシスコ問10人以Lで23万7,600円となった。このIT運賃は地上の観光費用として最低限200ドルを,旅行代理店が旅客からあらかじめ受け取ることを条件とした割引旅客運賃制度であり,現在のパノケ~ジ商品作りの基盤となったものである。太平洋運賃の値下げはこの区間の定期航空会社の利用度の増大を意図すると同時に この動きと併行して起こっていたワールド航空はじめ米不定期航窄企業との熾烈な競争を誘発していった。一方,乗入れ航空各社は前年同様,相次ぎキャリアli導型のパノケ~ジ・ツアーを発売。ルフトハンザ航空(オイローパ),スカンジナビア航空(バイキング),英国海外航空(ローズ).エールフランス(センボン)が、次つぎに名乗りをあげた。国内では,青少年を対象とした特別運賃|スカイ・メイト」が東京/大阪間でスタート,在来の運賃の半額(3,400円)で,同区間の新幹線ひかりの普通運賃(3,300円)とほぼ同額であった。運輸省が代理店契約で通達名義貸しに関する行政指導運輸省は6月1日,旅行あつ旋業法に基づく「代理契約」の登録について、契約書に問題があるとして国際旅行業者協会(JATA)に対し異例の通達を行なった。これに先立ち4月7日,増川遼三観光局長は・般旅行あっ旋業者が無登録業者を使用する場合は旅行あっ旋業法上の手続きを経て,代理店(サブ・エージエント)として使用するようJATA会員相次いだ航空事故と大平洋タースiI賃値ドげに揺れた大平洋スカイ・メイトで新幹線対応一方,未曾有ともいえるほど多発した事故の影響を受けながらも,1966年5月711に実施された太平洋航空運賃の値下げは,次に訪れるマス●ツーリズム時代の発火点となった。この年, 1月1日施行で従来の海外渡航に関する1人1年1回の制限枠が撤廃され,外貨割当額は1回500ドルとなった。もっとも,当時,旅行業界内では,制限枠の撤廃は必ずしも海外旅行の需要増大にはつながらず, 1人1年1回という回数枠の撤廃よりも,割当額を700ドルに増大させて欲しい, という「700ドル1論議が中心となっていた。一方,米国民間航空委員会(CAB)をはじめ関係各観光機関は,太平洋航空運賃は大西洋など他地域と比較して割高であると指摘,是正を勧告した。これに伴い太平洋路線を運航する6社(日本航空,パンアメリカン航空, ノースウエスト航空,英国海外航空, カナダ太平洋航空, フィリピン航空)による値ドげが実施された。値下げ幅は全体的に見ると2~ 15%で,東京/サンフランシスコ間片道で通レ観光渡航の回数制限撤廃,外貨枠は1人1回5(Ю ドルに引上げ(1月)レ日ソ航空協定調印,東京/モスクワ相互乗入れ可能に〈1月)>航空会社主導パソケージ・ツアー販売(1月~)レ9ヵ国在日外国政府観光機関でF(〕TO設立(2月〉レ観光労連結成(2月)>モントリオール協定発効,米国発着旅客の航空事故賠償限度額7万5,0∞ ドルに(5月)レ新東京国際空港建設地を成田に閣議決定(7月)旅行業界重大_ュース■連続航空事故で需要減退モントリオール協定発効