「有償ガイドを産業へ」全国組織発足 資格や研修の環境整備

2019.10.01 08:00

福岡で実施した講座は座学と実地研修で構成。参加者は20代から60代以上まで幅広く、未経験者も目立った

 訪日外国人を案内する有償ガイドの人材育成や質の維持・向上を図ろうと、一般社団法人インバウンドガイド協会が発足した。18年1月の法改正により、誰でも有償でガイド業務ができるようになったが、通訳案内士やボランティアガイド団体のように受け皿となる組織がなく、推進役が不在だった。初の業界団体として、知識習得に必要なコンテンツや教育の枠組みを体系的に整備する。

 発起人で理事・事務局長を務めるotomo(オトモ)の平塚雄輝代表取締役CEOは、「国際的なイベントを控え、ガイドのニーズは高い。有償ガイドを産業に育てていく必要がある」と狙いを語る。法改正に伴い、特定エリア内でのガイド業務を認め、自治体が研修や認定を行う地域通訳案内士制度も設けられたが、観光は自治体をまたぐ広範囲に及ぶことが珍しくない。「全国的な育成の枠組みが求められる」(同)と判断した。会長には日本観光振興協会の久保成人理事長を迎え、岐阜県高山市や千葉県いすみ市、福島県南相馬市といった自治体も参画した。

 検定や資格、研修制度を設ける。関連法や接遇の知識・スキルを習得できる教材も作成する。ガイドのみならず、旅行業や宿泊、輸送など訪日客に接する関係者が活用できるようにする。

 発足に先駆け、オトモは5~6月に福岡市でガイド講座を計8回開催した。申し込みは定員の2倍の485人に上り、友人・知人の案内など未経験に近い人を含めると7割がほぼ素人。需要の高さを裏付けた。

 ただ、有償ガイドは、利用したい自治体にとっては質を担保できるガイドの不足、ガイド側は仕事の不足、と双方にジレンマを抱える。新組織ではこうした課題の解消を目指す。

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