2025年3月17日 12:00 AM
国連は30年までのグローバルな目標である「持続可能な開発目標(SDGs)」の進捗を測定するための指標として、新たに観光産業の雇用を採用した。指標を検討する国連統計委員会の第56回会合で承認された。国連世界観光機関(UNツーリズム)のズラブ・ポロリカシュビリ事務局長は「測定できるものは実行できる。新しい指標により、経済と社会の進歩に対する観光産業の世界的な貢献に対する認識が高まる」と期待を寄せる。
これまでに全248(重複を除くと231)の指標が承認されており、観光関連はすでに2つ。1つはSDGsの目標8「働きがいも経済成長も」に向けて、30年までに雇用創出と地方の文化振興・産品販促につながる持続可能な観光業を促すための政策を立案・実施すること。もう1つは目標12「つくる責任つかう責任」に向けて、観光の持続可能性の経済・環境的側面を測定する標準的な計算ツールの導入だ。観光業の雇用は3つ目の指標となる。
UNツーリズムによると、15年から23年までの間、観光産業は世界の雇用の5.6%を占め、小島しょ開発途上国(SIDS)だけで見た場合、平均12.9%に上る。先進国に限らず途上国や遠隔地であっても、観光産業が雇用と収入の機会を提供し、重要な役割を果たしていることが分かる。
新たな指標は国連の「観光の持続可能性を測定する統計枠組み(SF-MST)」から導き出される。すべての労働年齢人口を追跡し、就労割合、性別、雇用者・自営業を分析。さらには宿泊、飲食サービス、旅客輸送、旅行会社、スポーツ・レクリエーションなど10の業種に細分化し、各国と世界の観光分野への就労状況を包括的に測定する。
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