クルーズ市場の裾野拡大へ検討会 国交省、未経験者への訴求など議論
2025.03.03 00:00

国土交通省はクルーズ市場の裾野拡大に向けた方策を議論する有識者検討会を立ち上げた。クルーズは観光立国や海運産業への貢献が期待されるが、急成長する世界市場に対し、日本人のクルーズ人口は19.6万人でコロナ禍前の半数程度にとどまる。観光人口に占める割合はわずか0.03%で、米国(0.6%)や豪州(0.2%)に比べて圧倒的に少ない。質と量の両面で市場の多様化と高度化を目指す。
クルーズ関連の政策はこのところ、港湾施設など受け入れ体制の整備を中心に検討が行われていたが、市場獲得の方策に主眼を置いた。30年など中期的な目標設定や、利用者意識を踏まえた間口や裾野の拡大、未経験者への訴求方策などが検討事項。観光立国との両立でクルーズ産業を新たなステージに導くために何が必要か議論する。
日本船社大手による新造船等の投入が続き、今年は従来の2倍の4隻体制になり、28年度にはもう1隻加わる。追い風が吹く一方、料金が高く長期休暇が必要といった固定観念からクルーズを敬遠する未経験者は少なくない。
流通の課題もある。旅行会社の店舗数がコロナ禍で大幅に減り、クルーズアドバイザー認定制度登録者は19年から2割減、新規受験者は半減の状況だ。
第1回会合で、JATA(日本旅行業協会)クルーズ旅行促進部会の松浦賢太郎部会長(クルーズのゆたか倶楽部代表取締役)は、「興味を持って港を訪れた人が質問したところで答えを聞けず、全国で消化不良が起きている。業界として大きな機会損失」と指摘。年100回寄港する港ならば店舗ビジネスが成立し、クルーズ商品を販売できるなど見通しを示した。
今後、数回の議論を重ね、4月に方策を取りまとめる予定。
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