宿泊税、定率制の導入促進へシンポジウム 経済同友会主催 観光振興の財源確保を

2025.02.24 00:00

シンポジウムには自治体やDMOの関係者などオンラインを合わせて300人以上が参加

 経済同友会は、観光振興に向けた財源として宿泊税を地方税法上の法定目的税とし、3%以上の定率制で全国的な導入を目指していくことを提言している。取り組みをさらに推進するため、このほど都内で「観光振興の鍵、宿泊税の導入と活用」と題するシンポジウムを開催した。

 宿泊税は、地域の観光振興を支える安定的な財源としての期待が各地で高まっている。コロナ禍でいったん動きは静まったものの再び活発化。経済同友会によれば、すでに11自治体で徴収が開始され、約50自治体で検討が進められている。

 宿泊税導入の必要性について登壇した米セントラルフロリダ大学の原忠之准教授はフロリダ州の例を紹介。オーランドなどを訪れる旅行者に課税する一方、住民の所得税をゼロにすることで生活水準の向上を図っており、オーバーツーリズムに関する不満や問題も未然に防止できているなどとした。

 26年度から定率2%・上限2000円での宿泊税導入を計画している沖縄県の下地芳郎沖縄観光コンベンションビューロー(OCVB)会長は、地方が独自に使える財源比率が極めて低いことを指摘。日本一範囲が広い地域であることや将来的にも財政収支の悪化が見込まれるなか、今のうちから観光財源をしっかり確保する必要があると訴えた。

 観光庁の鈴木貴典審議官は、観光産業が急速に大きくなり、社会的にもオーバーツーリズムの問題が出ているなかで、観光財源を充実させる必要性があることは間違いないと指摘。国の予算で地方の取り組みを100%補助する仕組みでは補助金頼みになって無駄使いが出てくる要素もあるため、「実態に即した地方独自の財源も必要になってくると思う」などと話した。

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