クリスタル・クルーズ、A&K傘下で再成長 「海と陸の融合で最高級の旅に」

2025.02.24 00:00

アーチボルド氏

 日本郵船が生んだクリスタル・クルーズが、新資本下で再び成長路線を歩み始めている。15年から所有していたゲンティン香港の経営破綻により、富裕層旅行の英A&Kトラベルグループが22年にブランド商標権と客船を取得。大規模改修を経て、23年に運航を再開した。2月の日本寄港に伴い来日したトニー・アーチボルド・アジア太平洋地区バイスプレジデントは「クリスタルとA&Kの組み合わせが大きな可能性をもたらす」と展望する。

 改修では、客室を広げて乗客定員を30%減らし、業界トップクラスの1人当たりスペースを確保。従業員数を維持したことで乗客と乗組員の比率はほぼ1対1となり、サービス態勢が向上した。24時間提供するバトラーサービスの対象も全客室に広げた。

 客船は現在の2隻から5隻に増やす。乗客定員690人の3隻の建造を発注済みで、第1船は28年4月に就航予定。その後、32年までに2隻を投入する。

 新体制の強みについて、アーチボルド氏は「超ラグジュアリー市場に情熱を持つ会社が所有し、ブランドの発展に全力を注いでいること」を第1に挙げる。

 もう1つはA&Kとの組み合わせの妙だ。A&Kはラグジュアリー旅行の分野で一目置かれる存在。世界64カ国に拠点を持つランドオペレーターでもある。クリスタル・クルーズの寄港地観光を徐々に引き継いでいるといい、「海上と陸上が一体となった最高の旅行を提供できるようになる」(同)。

 営業面では、アジア太平洋担当チームを再編成したばかり。日本をはじめとするアジア重視の表れで、流通は「代理店に100%依存する」とし、旅行会社を通じた販売を強化する。由縁の深い日本市場で再び存在感を発揮できるよう取り組む方針だ。

2月13日横浜港に入港したクリスタル・シンフォニーのアトリウム
新設されたカジノ