スルーガイドの役割に変化 情報伝達より気づきの引き出し アドベンチャー旅行で

2025.02.17 00:00

辺戸集落でのユタとの散策は高く評価された
(C)ATTA Josiah Holwick – Adventure Week Okinawa 2024

 地域への経済波及効果が期待されるアドベンチャートラベルの誘致に向け、官民の取り組みが加速している。旅行中に重要な役割を担うのが全行程に寄り沿うスルーガイドだが、求められる資質が従来の概念とは異なるようだ。昨年11月に海外の旅行会社等を招いた沖縄県でのファムトリップに携わった関係者が報告会で明かした。

 ファムトリップは「アドベンチャーウィーク」と称する商品の磨き上げを目的としたプログラムの一環で、日本政府観光局(JNTO)、アドベンチャー・トラベル・トレード・アソシエーション(ATTA)、沖縄県の3者が主催した。日本では初で、ATTAの事前視察や研修を経て本番を迎える。相互扶助が根付く沖縄の精神世界を付加価値と捉え、要素を盛り込んだ。

 スルーガイドを務めたツアーデザイナーズの宗像愛代表取締役は、納得感のあるストーリーづくりに注力したという。アクティビティー1つ取っても、なぜその局面で必要か問われる。その過程で感じたのが役割の変化だった。「これまでは伝えることが役割と捉えられてきたが、参加者の主体性を促し、気づきを引き出すスキルに変わる」と宗像代表。単なるサービス提供者ではなく、一緒に旅する仲間となることが体験を深めるとも指摘する。

 アドベンチャートラベルは、自然、文化体験、アクティビティーのうち2つ以上で構成する旅行と定義される。沖縄観光コンベンションビューロー海外・MICE事業部の新本康二課長は「精神性はこれらに共通する大切な要素になり得る」とする。ユタ(霊媒師)との散策では涙する参加者もいたほどだ。

 JNTOは25年度もアドベンチャーウィークを予定しており、9月ごろに東北で開催する予定。