昭和100年 観光・旅行業のための企画のヒント

2025.02.10 00:00

(C)iStock.com/fototrav

元号がいまも昭和のままだと仮定すると2025年は昭和100年に当たる。26年12月25日には昭和100周年を迎えることになる。今年から来年にかけては「昭和100年」がクローズアップされる機会が増えるだろう。そこに商機を見いだすことはできるか。

 昭和天皇が皇位継承した1926年12月25日から、亡くなった1989年1月7日までの62年間にわたって続いた昭和の時代は、歴代最長の元号というだけではない。日本がどん底に落ちたのが昭和なら、頂点を極めたのも昭和であり、まさしく波乱万丈の時代だった。

 昭和4年(1929年)の世界恐慌から満州事変、日中戦争、太平洋戦争(第2次世界大戦)、敗戦へと突き進んだ昭和初期は戦争の時代。戦後の荒廃から奇跡の復興を果たした昭和中期は高度経済成長期である。昭和45年(1970年)には米国に次ぐ世界2位の経済大国に上り詰め、日本史上もっとも豊かな時代が訪れた。その繁栄は元号が平成に変わった直後のバブル崩壊まで続いた。

 現在の日本国民の多数派を占める昭和中期以降に生まれた世代にとっては懐かしく、きらびやかな記憶に彩られた時代といえる。また、昭和元禄ともいえるような独特な輝きを放つ昭和文化が、平成世代からは新鮮で新しい魅力として受け止められ、昭和レトロブームにつながっている。

 2005年公開の映画「ALWAYS三丁目の夕日」の大ヒットからもう20年近くもたつが、それ以降も昭和レトロブームは断続的に盛り上がり続けている。繰り返しリメイクされるゴジラ映画はそうした現象の1つだし、10年代後半には純喫茶のクリームソーダが若者に大受けし、女子高生によるバブリーダンスが人気を博した。ポラロイドカメラの「チェキ」や、レンズ付フィルムの「写ルンです」は若者世代に人気のアイテムだ。

 20年代に入っても昭和のアイドルソングやアニメソング、シティ・ポップは日本だけでなく海外でも人気を博している。昭和レトロ人気は衰えず、21年には西武園ゆうえんちが昭和をコンセプトに昔懐かしい商店街などを再現してみせて話題をさらった。19年からは東京・日本橋で昭和のアイテムを扱う蚤の市「昭和レトロ市」が続いており、東京・葛飾区でも23年から「葛飾☆昭和レトロ市」が始まっている。昭和はそこに懐かしさを感じる中高年と、目新しさを感じる若年層のいずれにとっても興味・関心の対象になり得る、幅広く受け入れられるコンテンツである。

 そんな昭和レトロブームが、今年から来年にかけて一段と盛り上がりそうだ。すでに昨年終わりから「昭和100年」を掲げた企画やイベントなどが登場している。スカパーJSATは24年11~12月に「スカパー!昭和テレビ大特集」を開催し、昭和のテレビを彩った映画・音楽・ドラマ・バラエティー・時代劇・特撮物を放送した。通信カラオケJOYSOUNDを運営するエクシングも24年12月に「昭和カラオケランキング」としていまもカラオケで愛され続ける昭和の名曲を発表。「10~20代の若年層に歌われる昭和ソング・ランキング」などを集計し、楽曲を知らない年代層にも関心を持ってもらえるような工夫をしている。

 熱海市のホテルニューアカオは昭和100年の節目の年を記念して「昭和100年 新しく、懐かしい。世代を超えて、今。」をコンセプトに1月から1年を通じてさまざまなイベントを実施。1月には昭和100年記念の餅つき大会、6~7月には週末ごとに「昭和100年祭」を開催する。期間中は大人の文化祭をテーマに昭和歌謡大会やディスコ大会、クラシックカーパレードなどを予定する。

【続きは週刊トラベルジャーナル25年2月10日号で】

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