旅行支援、予算配分の妥当性検証できず 1285億円が不用額 不正受給3億円も
2025.02.10 00:00

コロナ禍で打撃を受けた地域の観光産業を支援する目的で実施した旅行支援策に関し、会計検査院が調査したところ、財源の計1兆1193億円のうち1285億円が使われていなかったことが分かった。観光庁は都道府県に予算として配分した交付限度額の算出根拠となる資料を保存しておらず、妥当性を検証できない。会計検査院が試算した額とは相当な乖離が生じている。
参議院からの要請を受けて検査した。対象は21年4月~22年10月に実施した県民割と22年10月~23年12月の全国旅行支援。実施主体は都道府県で、観光庁が旅行商品や宿泊代金の割引とクーポン券の付与にかかる経費を支援した。交付額と会計検査院の試算額を比べると、乖離率が最も大きい徳島県で372.5%だった。
全国旅行支援の団体旅行枠では724億円の残額が生じた。需要の回復が十分でない貸切バスを利用する旅行を促す措置だが、鉄道旅行なども含めた統計値を基に設定していたことが一因。一般枠への振り替えを例外的に認める周知が徹底されていなかったことも影響した。クーポンは開始後間もなくルールが変更され、電子を原則としたため、紙クーポン3269万枚以上が余り、廃棄などされている。
国庫返納の必要があると都道府県が判断した不正請求は62件・約3億円に上る。多くが宿泊事業者の水増し請求で、11件は事業者の資力が乏しく返納のめどが立っていなかった。
会計検査院は観光庁に対し、今後同様の事業を行う場合、予算執行に関係する重要な資料を適切に保存し、妥当性を説明できるようにすべきと指摘。また、方針を途中で変更する際は、事業者の実情を考慮した運用を検討することなどとした。
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