HISと子会社、雇調金64億円返還へ 誤りと虚偽申請で 矢田社長「理解と指導が不足」
2025.02.03 00:00

エイチ・アイ・エス(HIS)は1月27日、同社と子会社のナンバーワントラベル渋谷が受給していた雇用調整助成金に関して誤りと不正があったとし、合計で約64億円を返還すると発表した。そのうち、東京労働局から不正と認定されたナンバーワントラベル渋谷は違約金含め約1.3億円、誤った申請と判断されたHISは約62.6億円。
ナンバーワントラベル渋谷は20年3月から23年3月まで約1.1億円を受給。しかし、実際には就労した日に休業したとする虚偽の申請を行い、不正に受け取っていた。外国人旅行を専門とし、コロナ禍で売り上げが激減するなか、助成制度を悪用した。ランジャン・クマール・ダスデブ社長はHISから勧告を受けて昨年12月に辞任、一部役員の報酬を減額する処分を下している。
一方、HISは不適切な受給だったとする。20年3月から22年12月まで雇調金約242.6億円を受給していたが、24年4月に会計監査人への情報提供を受けて調査に着手。業務で使うメール、チャット、旅行手配の基幹システムについて、全従業員のデータを精査した。その結果、受給対象とした休業日の約2割強で就労があったことが分かった。
HISは時間単位ではなく日単位で受給申請を行っていたため、操作履歴が1回でもあれば就業に該当する。返還額のうち3割は1回の操作だった。同日に本社で会見した矢田素史代表取締役社長は「メール1通でも勤務に当たるという認識を持っていた者はあまり多くなく、経営陣の指導や助成金制度の理解が不足していた」と反省の弁を述べた。
グループ内でこのほかに問題がないか、受給期間中に子会社だった会社も含めて合計32社を対象に現在調査を行っている。
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