訪日客増、石川で顕著も能登復興遠く 観光庁が復興計画を支援 地域の意向反映

2025.02.03 00:00

 能登半島地震から1年がたつなか、北陸4県を訪れる外国人旅行者が増えている。日本政府観光局(JNTO)は風評被害対策として実施してきた正確な情報発信と、北陸新幹線延伸を含めた観光プロモーションなどが奏功しているとみる。一方で、まだ観光事業を再開できない地域もあり、観光庁は24年度補正予算で被災した観光地の復興へ5億円を確保し、観光再生支援を本格化する。

 JNTOが観光庁の宿泊旅行統計から集計したデータによると、24年1~10月の北陸4県の外国人延べ宿泊者数は250万5000人泊で、前年同期比93.3%増と大きく増加した。JNTOはこの要因として、情報発信とプロモーションに加え、現地を視察した海外の旅行会社がゴールデンルート以外の新しいルートを求めていることを挙げる。

 なかでも石川県の大幅な伸びが目立っている。昨年10月の外国人延べ宿泊者数は日本全体で1582万3130人泊を数え、19年同月比54.2%増、前年同月比26.6%増。このうち石川県は30万200人泊で全国9位。19年同月比180.6%増、前年同月比130.1%増はいずれもトップだ。北陸4県の中では富山の回復が遅れているが、新潟と福井は堅調な伸びを示している。

 しかし、石川県の中でも、能登地方は旅行者を受け入れられる宿泊施設が半数に満たない。観光庁の秡川直也長官は「観光客を送り込む前に、まずは復興計画の策定を支援してほしいといった声がある」とし、被災観光地の再生に向けた支援事業で地域の意向をくんだ対応を進める。自治体や事業者が一体となった復旧・復興計画、復旧後の誘客促進に向けたコンテンツ造成、情報発信、宿泊施設の収益力向上などを支援していく。

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