サステナブルな旅、理解と多様化進む 観光庁の第2回アワード 大賞に下諏訪町

2025.02.03 00:00

受賞者の面々。左端が観光庁の鈴木貴典審議官、右端が小林審査委員長

 観光庁が持続可能な観光にかかる旅行商品の造成と商流に乗せることを目指し、23年に創設した「サステナブルな旅アワード」が手応えを見せつつある。24年の第2回は大賞に下諏訪町地域開発公社観光振興局、準大賞には愛媛県大洲市で城下町再生に取り組むキタ・マネジメントが選ばれた。特別賞と奨励賞は、クラブツーリズム、福井銀行100%子会社のふくいヒトモノデザイン、佐久市の岩崎呉服店など各5件が受賞し、多彩な顔ぶれとなった。

 審査委員長の小林英俊氏(北海道大学観光学高等研究センター客員教授)は「教科書的でなく、自分たちなりの理解とプレゼンテーションができている」と総評。1年の変化を示した。

 下諏訪町の「4つのテーマで紡ぐ!信州下諏訪長期滞在の旅5日間」は、縄文時代の遺跡など地域特有の資源を地元の専門家が案内し、深く掘り下げて知的好奇心に高いレベルで応える。着地型商品にして14万円以上の設定。地域に対価を与えるためで、高額にもかかわらず催行率は100%近い。

 「何より楽しそうにガイドをしている。自信はより良い改善へとつながる。こうした循環の仕組みをつくることが大事」(小林審査委員長)

 持続可能な観光を介して、行政の枠組みを超える取り組みも生まれている。2つの町の連携した商品が複数あり、小豆島の中山千枚田と農村歌舞伎舞台を満喫する散策&体験型ツアーでは、小豆島町と土庄町が協力し合う。

 旅行会社の取り組みとして「一歩抜けている」と評したのが、クラツーのネイチャーポジティブスクール「旅するいきもの大学校!」。ランドオペレーターのプランをそのまま販売する旅行会社もあるなか、地域の視点に立って考えコーディネートした。

【あわせて読みたい】着地型で攻めの値付けも集客好調 下諏訪町、成長と雇用確保へ「正当な対価」  奮闘する地銀 観光分野で増す存在感 福井銀行、旅行業に参入へ 観光地域商社を設立 富裕層向け着地型商品や物販