<PR>旅行会社と連携で高所得層取り込みへ ドイツ観光局・西山晃統括局長に聞く
2025.01.20 00:00

ドイツ観光局は24年に日本支局開局50周年を迎えた。半世紀にわたり日本支局を直接運営し独立したオフィスを維持する観光局は数少ない。日本市場の動向と戦略について、西山晃アジア地区統括局長兼日本支局長に聞いた。
訪独日本人旅行者の宿泊数を19年と比較した場合、23年の回復率は52%にとどまったが、24年は約60%まで回復する見込みだ。円安や世界的な物価高騰の影響は特にロングホールの欧州方面で色濃く、ドイツも例外ではない。
しかし、西山局長は「これだけのマイナス要因を抱えながら、好調とまではいえないものの訪独需要は着実に回復しつつある。23年5月の新型コロナの5類移行後、前年比は毎月コンスタントに10~15%伸び続けており前年割れは1度もない。需要はゆっくりだが確実に回復している」と説明する。
需要回復を支えているのは可処分所得が多い高所得者層で、それを反映して旅行者1人当たりの単価が上昇している。このため「現在の経済環境下でも海外旅行に目が向きやすく、われわれがドイツ旅行を促した際に成果を期待できる高所得者層を主力客層に据えてプロモーションを展開していく」(西山局長)との方針だ。
そのために重要になるのが、長年にわたる絆で結ばれた日本の旅行各社との連携だ。24年10月には東京で、プレミアムプロダクトのサプライヤーと、こうした市場に特化した旅行会社や専門部署を持つ旅行会社の担当者を招いたワークショップを開催した。
西山局長は「単なるラグジュアリーさではなく、時期や場所を限定した特別な体験を提供できるサプライヤーと、それにふさわしい企画を用意し実現のために手間をかけ、その手間を収益源にできる旅行会社のマッチングを目指した。この方向性は25年も継続する」という。
一方で、今後の旅行需要の底上げをにらみ、中間層や若年層対象の消費者マーケティングも実施する。中心に据えるのは22万人以上のフォロワーを持つXをはじめとする公式SNSアカウントの活用だ。
「SNSで見たあのドイツの写真や投稿記事の場所に行ってみたいという印象をいまのうちに与え、旅行再開の環境が整った時に真っ先にドイツ旅行を検討してもらえるよう準備しておきたい」というのが西山局長の考えだ。
直近の需要喚起を狙う高所得者層向けBtoBプロモーションと、中長期で需要開拓を狙うBtoCのSNSマーケティングの2本立てで日本市場を刺激し、訪独旅行需要の本格的な回復を図るのがドイツ観光局の目標だ。西山局長は「円安の終息が前提となるが、25年はコロナ禍前の8割までの回復を目指したい」としている。
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