旅行業の倒産、24年は低水準 零細企業中心に22件 すべて消滅型

2025.01.20 00:00

 東京商工リサーチ(TSR)の調べによると、負債1000万円以上の旅行業の倒産件数は24年(1~12月)に22件となり、過去30年で最少だった22年の18件に次ぐ低水準だった。コロナ禍の影響が深刻化した21年には7年ぶりに30件を超えるまで増えていたが、翌年から減少。23年は23件で推移していた。

 22件すべてが消滅型の倒産。原因は販売不振が最多の20件で前年より3件増えた。新型コロナ関連は17件で、融資制度などを活用して何とかつないできた資金繰りが限界に達し、事業継続を断念したケースが目立つ。

 主な事例は、業界初のホテルクーポンシステムの開発で知られたジエイエツチシー(負債約2億円)で、同業他社との競合を背景に減収をたどるなか、コロナ禍による業績の低迷とともに資金繰りが悪化していた。国際交流イングリッシュキャンプを企画・実施していたこども応援団(同約1億500万円)は採算性に課題を抱え、債務超過に陥っていたという。

 倒産は零細企業が中心で、従業員数4人以下が9割を占める。24年は負債額5億円以上の大型倒産がなく、1000万円以上5000万円未満が7割で、負債総額は前年から約半減の11億2400万円にとどまった。

 TSRは今後の見通しについて、倒産件数は引き続き低水準で推移すると予想する。低迷していた海外旅行がじわりと回復し、今年は大阪・関西万博の開催を控えるなど、観光需要の回復が見込まれるためだ。

 その一方で、顧客獲得競争が激化すると見る。「人手不足やコスト増で業績回復のめどが立たない企業を中心に倒産件数を押し上げる可能性もある」と指摘している。

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