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文化観光の計画認定、旧醤油工場も たつの市など4件 制度開始から計57件に

2025年1月13日 12:00 AM

 文化庁と観光庁は、文化観光推進法に基づく地域の整備計画として、新たに4件を認定した。観光を通じた文化資源の理解促進と地域活性化を図るため、20年に開始した制度。認定対象は、文化施設の機能強化に重点を置いた拠点計画と、拠点施設を軸に一体的に文化観光を推進する地域計画の2タイプ。今回は岩手県平泉町ら2市1町が世界遺産を軸に文化観光を推進する計画などが認定された。

 拠点施設はこれまで美術館・博物館が主となる傾向が見られたが、ユニークなのが、醤油の産地として知られる兵庫県たつの市の旧カネヰ醤油工場を中核に据えた推進計画。計画区域である龍野地区は、古い町家や武家屋敷、醤油蔵などで構成される町並みが残り、生きた城下町博物館都市とも呼ばれるこの伝統的建造物群保存地区の中心にあり、150年以上醤油醸造に使われてきた旧カネヰ醤油工場を、文化観光拠点「醸ス場かねゐ」として再構築する。

 計画によると、観光案内施設、展示施設、食品・物販施設、飲食施設などを整備し、26年9月にグランドオープン予定。来訪者の暮らしを醸す文化の発信拠点として、城下町の文化観光を推進するゲートウェイとしての取り組みを展開する。計画期間は28年度までの5年間で、醸ス場かねゐへの来場者数を1.4倍の8万人、このうち有料展示施設への外国人入場者数1600人(33年度には1万人)を目指す。

 今回はこのほか、宮城県慶長使節船ミュージアム、沖縄空手会館展示施設を中核に据えた計画が認定され、累計認定件数は全国で57件となった。国・地方公共団体・国立博物館等による助言、日本政府観光局(JNTO)による海外宣伝等の援助のほか、予算・税制面での支援などを行う。