人生観が変わるサファリ体験
2025.01.06 08:00

「サファリ」とはスワヒリ語で「旅」を意味しているという。世界でアドベンチャーツーリズムが注目される昨今、当社でもアフリカのサファリロッジに滞在するツアーが人気だ。アフリカでは欧州のラグジュアリー層を対象にした多様なロッジが生まれている。24年の旅行博でお会いした在日ボツワナ大使の勧めもあり、11月下旬から12月にかけてアフリカ中南部のボツワナで行われるBTTE(ボツワナ・トラベル&ツーリズム・エキスポ)というコングレスに参加してきた。
150社を超える現地観光業の方々とのミーティングが3日間にわたって行われた。日本のみならず、アジアからの参加が私しかいなかったことは、欧州以外ではサファリの魅力がまだ広く認識されていないからであろうと感じた。
会議の前に実施されたファムトリップのグループも全員が欧州のエキスパートたち。いくつものロッジを試泊しながらのサファリ体験は自分の人生観が変わるほどの大きなインパクトがあった。いままでにツアーに同行してアフリカ3カ国を周遊する旅などで野生動物を間近に見る体験をしていたが、今回のロッジ滞在のアドベンチャーツアーは動物たちの命のやりとりを目前で見るなど想像以上だった。
さらに現地の人々との交流をはじめ、参加者への文化・歴史の理解促進など、旅をすることが野生動物保護や社会貢献につながっていることを実感できるプランになっている。
大自然や動物の生態系を熟知するガイドの説明も素晴らしく、夕日を眺めながらの屋外でのサンダウナーでは、ロッジのスタッフたちが歌と踊りでもてなしてくれる。夜、部屋に戻り電気を消すと漆黒の闇に包まれる。聞いたことのないような動物たちの遠吠えや鳥たちのさまざまな鳴き声に耳を澄ませながら、ベッドの中で眠りに落ちる。朝はにぎやかな鳥たちの合唱で自然と目が覚めた。朝日が昇る直前のそれは、まるで日の出を告げるセレモニーのようだ。
私が滞在したボツワナのオカバンゴ・デルタは世界遺産として登録されている。乾燥したカラハリ砂漠にオカバンゴ川が流れ込み、世界最大の内陸デルタになっている。乾季にはアフリカの広範囲に生息する多くの野生動物が水を求めて集まるため、多様な動物を見ることができる。
多くの欧州の事業家が自然の中にロッジを造り、地元の村の人々にも経済的な恩恵があるように共生して事業を営んでいる。近年までは村の生活にとって対立する存在であった野生動物を、ツーリズムとして欧州を中心とする観光客に案内することで動物との共生が実現し、経済に寄与できる流れが生まれている。ただし、宿泊施設は自然環境に配慮して造られているため、ロッジの部屋数は少なく、多人数の団体での旅行は難しい。
特に少人数であっても日本人を対象とした募集型企画旅行で実施するには買い取りなどの仕入れ条件が厳しく、旅行業法に則ったキャンセル条件に合わないため実現が困難である。このような現状から、日本では消費者を保護するための業界の約款により世界中のユニークな企画を日本の人々に紹介しにくいのが現実だ。
当社はサファリをはじめとした、ツアーとして実現が難しい企画を日本で紹介できるように試行錯誤を重ねている。今年は新しい挑戦としてアドベンチャーツアーを日本に紹介できるよう、「グローバル ワイルド ジャーニーズ」というプロジェクトを発足させ、今春に発表できるように準備をしている。人生観が変わるほどの、心の財産となるような旅の実現のために挑戦を続けていきたい。

柴崎聡●グローバルユースビューロー代表取締役社長。海外のネットワークから企画が実現した世界初の「ウィーン・フィルクルーズ」はクルーズ・オブ・ザ・イヤー受賞。シェフや音楽家が同行する旅などオリジナル企画を多数実施。カルチャー&ホスピタリティーを念頭に企画から添乗まで現場で陣頭指揮を執る。
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