2つの成長事業で「より強く」 クルーズのゆたか倶楽部、保育事業が黒字化

2024.12.16 00:00

園内に立つ松浦社長。JATA(日本旅行業協会)のSDGsアワード社会・人権部門の奨励賞も受賞した

 クルーズのゆたか倶楽部が保育事業を軌道に乗せつつある。22年10月に開設した英語教育型保育園「アンカーキッズインターナショナルスクール」の利用者が伸び、今年11月に初めて単月黒字を確保した。来春からの3期目は通期で黒字を達成する見通し。

 コロナ禍で政府が用意した事業再構築補助金を活用して立ち上げた新規事業。開園当初は利用者がわずか1人だったが、定員の約半数の17人まで増えた。さらに増加が確実な情勢で順調に歩を進めているが、松浦賢太郎代表取締役は「まだ成功の途上」といい、充足率8割が1つの目安と見る。

 共働きの経営者や医療関係者が利用者の中心。日中のレギュラークラスだけでなく学童保育の需要が高い。昨今の待機児童問題を象徴するように、長期休みは特に利用が増える傾向にある。

 保護者の期待が大きいのが課外授業、すなわち旅育だ。コロナ禍のさなかに生まれた子供たちは外出を制限され、親はさまざまな体験をさせたい気持ちが強い。同園は公共交通機関を使う点が特徴で、旅程管理主任者の資格保有者が同行して安心・安全を担保する。評判は口コミでも広がり、利用者は園が立地する東京・神田をはじめ、日本橋や四谷などにも広がる。

 新規事業に乗り出したのは、ライフステージが変わっても継続して働ける「選ばれる会社」になるためでもある。園ではスタッフの子供を無料で受け入れており、復職する者も複数出てきた。

 リスク分散のために本業のクルーズ販売と相関関係のない事業を選んだが、いみじくも、新船が続々と投入されるクルーズと学童ニーズが高まる保育という成長事業。松浦代表は「伸びる事業を2つ持っていることでより強い会社になれる」と未来を展望する。

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