障害者の訪日旅行、課題多く 車椅子で移動困難 混雑イメージも評価下げ

2024.12.09 00:00

 Accessible Japan(アクセシブルジャパン)とJTB総合研究所が共同で実施した調査で、障害のある外国人が訪日旅行に課題やストレスを感じている現状が浮かび上がった。「日本はアクセシブルツーリズムが進んでいない」と回答した人は47.1%と半数近くに上る。車椅子でのアクセスのしづらさや混雑のイメージが評価を下げている。

 調査対象は、バリアフリー観光情報を発信するアクセシブルジャパンに登録する障害のある外国人とその家族221人。車椅子利用者が手動式と電動式で各4割、難病も2割を占めた(複数回答)。

 日本に抱くイメージは「寺や庭など車椅子で行けない所が多い」が67.0%で最多。大浴場や温泉は車椅子で入れないと思う人も4割いる。特に訪日未経験者の場合、電車は車椅子では乗れないと思う人が訪日経験者より10.8ポイントも多かった。

 実際に訪日経験者が困ったことは、宿泊施設のアクセシブルルームの不足、観光地の足場の悪さ、大浴場や温泉へのアクセスの難しさが上位となった。日本語のみの情報提供など、言語的なバリアもある。

 一方、親切にしてくれる人が多いことや無料で使えるトイレの多さ、乗車時に駅員が手助けしてくれることへの評価は高く、情報発信を充実させていく必要がある。

 アクセシブルだと思う国は米国が多い。回答者の4割が米国在住であることも影響しているが、社会参加を保証する米国障害者法(ADA)がその理由。日本に比べ法的拘束力が強い英国なども挙がった。調査分析では「今後の日本のバリアフリー政策に対する重要なフィードバック」とし、観光業界全体で障害者支援を強化することが求められていると指摘した。