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JTBのNDC利用、狙いは価格訴求力 「料金メリット大きい」 シンガポールから拡大へ

2024年11月25日 12:00 AM

ホテルや航空を自由に選択できるルックJTBMySTYLE

 JTBはシンガポール航空(SQ)と連携し、新流通規格(NDC)に準拠した航空券を活用して海外募集型企画旅行の販売を始めた。IATA(国際航空運送協会)が推進するNDCは、航空会社が公式サイトに限定している運賃などを第三者に開放し、収益増を目指す施策。旅行会社では外資系OTAが先行して販売環境を整え、日本企業は出遅れていた。JTBは大手の中でも初めて乗り出した格好だ。

 海外ダイナミックパッケージ「ルックJTBMySTYLE」でSQ利用のシンガポール行きスプリングスペシャル商品(25年1月15日~5月31日出発)を設定した。JTBによると、20年12月にNDCセラーとしてIATA認証を取得。航空会社とのシステム接続など複数ある利用方法のうち、アグリゲーター経由の接続を選んだ。NDCは事前座席指定など有料サービスも扱えるのが特徴だが、今回は運賃の利用に限定した。

 JTBはNDCを利用するメリットとして料金を挙げる。これまで国際航空券の流通基盤を担ってきたGDS(グローバル・ディストリビューション・システム)に比べると、「安価なNDC専用運賃があり、GDS手数料免除も含めて料金メリットが非常に大きい」とする。

 航空各社とはNDCの販売契約を随時行っているが、販売開始に至ったのはSQが初めて。その理由も「他の航空会社と比べ料金メリットを最も多く受けられると考えた」ためだという。SQにとっては、100社以上の旅行会社とNDC販売契約を結ぶなか、パッケージ商品化はJTBが初となった。

 JTBは今後、シンガポール以外のコースでもSQのNDCを利用した商品を追加する予定。また時期は未定ながら、業務渡航やSQ以外にも拡大することを計画している。

【あわせて読みたい】NDC戦略のミス、業績にくっきり アメリカン航空、通期の影響額15億ドル予想[1] 全日空、転換点にらみNDC推進 コロナ禍でも投資継続[2] 2020年11月30日号>静かに進むNDC 国際航空券流通の新ステージ[3] 静かに進むNDC 国際航空券流通の新ステージ[4]

Endnotes:
  1. NDC戦略のミス、業績にくっきり アメリカン航空、通期の影響額15億ドル予想: https://www.tjnet.co.jp/2024/08/05/ndc%e6%88%a6%e7%95%a5%e3%81%ae%e3%83%9f%e3%82%b9%e3%80%81%e6%a5%ad%e7%b8%be%e3%81%ab%e3%81%8f%e3%81%a3%e3%81%8d%e3%82%8a%e3%80%80%e3%82%a2%e3%83%a1%e3%83%aa%e3%82%ab%e3%83%b3%e8%88%aa%e7%a9%ba/
  2. 全日空、転換点にらみNDC推進 コロナ禍でも投資継続: https://www.tjnet.co.jp/2020/10/12/%e5%85%a8%e6%97%a5%e7%a9%ba%e3%80%81%e8%bb%a2%e6%8f%9b%e7%82%b9%e3%81%ab%e3%82%89%e3%81%bfndc%e6%8e%a8%e9%80%b2%e3%80%80%e3%82%b3%e3%83%ad%e3%83%8a%e7%a6%8d%e3%81%a7%e3%82%82%e7%a9%8d%e6%a5%b5/
  3. 2020年11月30日号>静かに進むNDC 国際航空券流通の新ステージ: https://www.tjnet.co.jp/2020/11/29/contents-60/
  4. 静かに進むNDC 国際航空券流通の新ステージ: https://www.tjnet.co.jp/2020/11/30/%e9%9d%99%e3%81%8b%e3%81%ab%e9%80%b2%e3%82%80ndc%e3%80%80%e5%9b%bd%e9%9a%9b%e8%88%aa%e7%a9%ba%e5%88%b8%e6%b5%81%e9%80%9a%e3%81%ae%e6%96%b0%e3%82%b9%e3%83%86%e3%83%bc%e3%82%b8/