旅費高騰の修学旅行、方面や時期見直し意向が顕著 泊数減も検討課題

2024.11.11 00:00

 修学旅行を実施する学校が方面や実施時期の見直しを検討している。日本修学旅行協会が全国の中学校と高校に実施したアンケート調査で、今後の修学旅行のあり方を尋ねたところ、実施方面や日程に関して「国内の異なる方面へ変更」が最多となった。前年度はコロナ禍からまだ脱しておらず、感染症対策が群を抜くトップ項目だったが、コロナ禍が明けた今、旅費高騰に悩む姿がくっきり浮かび上がった。

 調査は国立・公立・私立の中学校と高校それぞれ3200校を抽出して実施。中学校1038校、高校1123校から回答を得た。2番目に多かった項目は「実施時期の見直し」で、「実施日数(宿泊数)を減らす」も上位に挙がった。方面を国内または海外、国内の複数方面から選択制にするとの回答も一定程度見られた。

 日修協はこれらの回答結果を物価高騰のあおりと見る。旅行先が混雑していて計画どおりに実施できない学校も出始めているという。

 混雑による影響は旅行先にも表れた。高校の1位は沖縄県(303件)で前年度の3位から首位に返り咲いた。ただ、2位の大阪府(301件)とは僅差。沖縄が2位以下に40件以上の差を付けていたコロナ禍前に比べ違いが歴然だ。

 上限額の規定を見直す自治体もあるが、旅費の上昇に追い付いていない。バス不足など手配面の問題もあり、取り扱う旅行会社の採算に見合わず「売り控えもある」(日修協)。

 調査は体験内容に関する変化も調べた。「平和教育・平和学習を取り入れる」が高校で1位、中学校では2番目に多い。昨今の世界情勢の影響に加え、新学習指導要領の軸となる探究的な学習のテーマに適しているといった事情もあるようだ。