事務局の働き方

2024.10.14 08:00

 まいまい京都やまいまい東京を運営する合同会社まいまいは事務局16人の小さな組織だ。月間100コース以上のツアーは、事務局メンバーが中心となって地道につくり上げている。まち歩き団体の事務局というのは世の中にあまり知られていない仕事だろう。

 事務局の仕事はツアーの企画から始まる。この仕事をあるメンバーは「漫画雑誌の編集者のようだ」と説明する。いわく、「編集者は面白い漫画を描ける人を探し、どんなテーマを扱うか考え、漫画家とともに作品をつくり、雑誌に載せて売る。まいまいも全く同じ」。確かにそうだ。

 メンバーはそれぞれが「これぞ」というガイドさんを探してツアーのオファーをし、二人三脚で企画をつくる。そしてツアーを世に送り出す。メンバーは基本的に好奇心旺盛だ。「僕は鉄道が好きなので鉄道のツアーをたくさんつくる」など、自分の好きなテーマを深堀りするだけではない。まいまいでは1人の担当者が仏像からおいしいパン屋さん、文人茶会からストリップ劇場まで、幅広いテーマにアンテナを張っているからこそ、豊かなバリエーションのツアーができる。

 会議ではそれぞれのメンバーが持ち寄った企画に忌憚のない議論が展開される。代表である私も含め、メンバー一人一人がまいまいという組織を担おうと積極的だし、それぞれがフラットな関係性だ。収入から支出の詳細まで、運営に関わるすべてのデータをオープンにしている。

 メンバーはそれぞれが多様なキャリアを持っているのも特筆すべきところだ。もともと旅行代理店に勤務していた者もいれば、全く観光とは関係ないIT系の広報経験者や元編集者までさまざまなスペシャリストが揃う。例えば元IT系企業勤務のメンバーが顧客データベースを整備したり、元編集者がツアーの告知ページの文言を1文字ずつ検討したりしている。

 事務局はまいまいツアーに関わるあらゆることを一手に引き受けるため、ツアー企画以外にもさまざまな業務が発生する。多様な業務をカバーするためにもバックグラウンドがさまざまなメンバーで構成されていることが強みの1つである。

 旅行代理店に勤務していたメンバーに、まいまいでの仕事について聞いてみると、当初は定員20人という小単位でツアーを販売していることに驚いたようだ。ただ、いままでのように無数のお客さまではなく、顔の見える参加者さんを想像しながらツアーを企画するということにいまではやりがいを感じているようだ。

 まいまいは11年の設立以来、手探りでここまで進んできた。これからもいままでになかった面白いまち歩きを世に送り出していく。そのための仲間は随時募集している。

以倉敬之●まいまい京都代表。高校中退後、バンドマン、吉本興業の子会社、イベント企画会社経営を経て、11年にまいまい京都を創業。NHK「ブラタモリ」清水編・御所編・鴨川編に出演した。共著に『あたらしい「路上」のつくり方』。京都モダン建築祭、神戸モダン建築祭、東京建築祭実行委員。

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