クルーズ拡大は企業連携が要 販売システム提供や共同仕入れで

2024.10.07 00:00

市場拡大に向けてフロントランナーが意見を交わした。左から堀川氏、小林氏、松浦氏

 世界のクルーズ市場がコロナ禍前を上回る活況を見せるなか、日本市場の回復が遅れている。23年のクルーズ人口は19.6万人となり、19年の55%にとどまった。特に海外を発着するフライ&クルーズの伸び悩みが顕著だ。一方、外国船社は旺盛な訪日需要を踏まえ日本配船に積極的で、邦船社も新たな客船の投入を控える。期待を損なわないために、旅行会社間の連携を図るべきとの意見が出ている。

 「旅行会社のわずか上位10社だけがクルーズを扱う状況を変えていかないと」。9月27日のツーリズムEXPOジャパンのセミナーで、クルーズプラネットの小林敦代表取締役社長はこう指摘した。背景にあるのは、海外の船社から注がれる厳しい目と日本への配船が細くなりかねないという危機感だ。

 同社では、コロナ禍後にファミリー層が増える半面、70代以上が急速に落ち込むといった市場の変化も見られる。市場拡大には売り手こそ増やす必要があると見て、10月末から事業者向け予約システムの提供を始める。

 「ライバル社の商品を研究するだけでなく、積極的に販売する必要がある」。こう提案するのは、クルーズのゆたか倶楽部の松浦賢太郎代表取締役だ。集客が最少催行人数に届かずツアー中止となった場合、他社商品への誘導も必要との考え。経験上、信頼する会社に薦められれば、他社商品でも顧客に抵抗感はないという。「何より機会損失をつくらないことが大事」とする。

 カーニバル・ジャパンの堀川悟代表取締役社長によると、台湾では複数の旅行会社がコンソーシアムをつくり、船をチャーターする販売手法が一般化している。販売力に応じて人数を割り振り、費用も案分する。日本でも一考の余地がある。

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