政府が日本版ESTA導入へ 30年までに開始 円滑な入国や不法滞在防止に

2024.09.16 00:00

 政府は急増する訪日外国人の円滑な受け入れ環境整備に向けて、日本版の電子渡航認証制度(仮称:JESTA)の導入を進める。「外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議」が6月にまとめた対策に盛り込んだことを受けて、法務省が25年度概算要求で準備に向けた予算を求めた。重要な政策課題として、国が訪日6000万人の達成を目指す30年までの運用開始をターゲットとする。

 ESTAは09年に米国が導入した電子渡航認証制度の略称で、入国しようとする外国人に氏名・パスポート番号といった個人情報や国内での滞在先などをインターネット上で申告させ、渡航認証を事前に行う仕組み。オーストラリア、カナダ、欧州連合(EU)でも同様のシステムが導入されている。

 日本では、短期滞在ビザが免除されている71カ国・地域(4月時点)からの訪日客を対象にする。不法滞在の恐れのある人の入国を未然に防ぐ水際対策の強化や、事前に情報が入手できていることによる入国審査の円滑化・簡素化などの効果が期待できる。

 観光客を中心とした訪日外国人の増加は今後の日本経済を支える大きな柱の1つだが、半面でビザ免除制度を悪用した不法滞在者も増加する懸念がある。入国審査の現場で手続きが長時間に及ぶようであれば、日本への印象を悪化させてしまう恐れもある。

 現在も、航空会社から出発後30分以内に搭乗者の情報を提供してもらい、ブラックリストと照合する事前旅客情報の仕組みが運用されている。しかし、航空機が日本に到着する前に対象者の搭乗を事前に把握できても、到着自体は阻止できない。JESTAが運用されれば、航空会社が対象者の搭乗を拒否できる対応も見込める。