『世界思い出旅ごはん ローカルフードを食べ歩き!』 食の大切さ知り、また旅に出たくなる
2024.09.09 00:00
本稿でもご紹介した『旅のオチが見つからない おひとりさまのズタボロ世界一周』(KADOKAWA)著者の最新刊が発売された。今回のテーマは「食」。旅で出会った世界30カ国の地元メシを楽しく振り返るコミックエッセイだ。
わー、なんかすごい共感するわー。
と、うなずきつつページをめくる。この共感はなんでかと思ったら、出てくる食べ物がみんな親しみやすいから。ベトナムのフーティウ、ペルーのセビーチェ、ラオスのカオニャオ、英国のイングリッシュ・ブレックファスト。日本でもほんのり知られていて、現地を訪れたことがある人なら街角で見かけたか、食べているだろうポピュラーなローカルフードのチョイスがうまい。また、「茹で卵料理」「夏の飲み物」と、ワンテーマで世界各地のフードを紹介するページも分かりやすくて楽しい(し、茹で卵好きとしてはうれしい。茶葉蛋は私も大好物!)。
そしてもうひとつ、本書をぐっと身近にさせているのは随所に挟まれるレシピ、というか“作ってみました”レポ。凝り性でもある著者が現地の味を再現すべくチャレンジしたのはスペインのフィデウア(パスタのパエリア)、インドのアチャール、韓国のキムチなど。中には漬け込んで2年ほど忘れていたトルコのトゥルシュ(唐辛子のピクルス)を恐る恐る食べてみたらおいしかった、なんて笑えるエピソードもあるが、そんな雑さ(失礼)もまたいかにも旅人らしくて共感しかない。
「旅先で迷ったり困ったりしたら/とりあえずごはんを食べることにしています」という著者。旅で知った食の大切さ、食を通じて知る旅の良さ、各地の良さを明るいタッチで読者に伝えてくれる。うんうん、と思いながら読了後はまた旅に出たくなる好著だ。
やまだ・しずか●女子旅を元気にしたいと1999年に結成した「ひとり旅活性化委員会」主宰。旅の編集者・ライターとして、『決定版女ひとり旅読本』『女子バンコク』(双葉社)など企画編集多数。最新刊に『旅の賢人たちがつくった 女子ひとり海外旅行最強ナビ』(辰巳出版)。京都の小さな旅館「京町家 楽遊 堀川五条」「京町家 楽遊 仏光寺東町」の運営も担当。
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