観光庁概算要求、コロナ前届かず 海外旅行の回復遅く旅客税に反映
2024.09.02 00:00
観光庁は25年度予算の概算要求で、今年度当初予算額を23.2%上回る619億9700万円を求めた。そのうち一般会計は49.6%増の149億9700万円、出国者から徴収する国際観光旅客税の財源は16.6%増の470億円。過去の要求額や決定額と比べた場合、コロナ禍前の規模には届かない。訪日外国人は過去最多の勢いで増える一方、日本人海外旅行者が6割程度と回復が遅れている状況を踏まえた。
持続可能な観光地域づくりに142.7%増の66億9600万円を充てる。地域の受け入れ環境整備促進事業(14億4000万円)として、需要の適切な管理や平準化を図るため、入域料徴収のシステム整備や混雑状況の可視化を支援。人材不足対策(3億円)では、スマートチェックインなど設備投資のほか、外国人材の確保を促す。
新規事業は観光産業再生促進(3億円)。産業の中核でありながらコロナ禍で増えた債務の返済に行き詰まる宿泊業に対し、コンサルタントの派遣などを通じて再生を後押しする。
地方へのインバウンド誘客では、日本政府観光局(JNTO)を通じた戦略的プロモーションに55億円を割く。大阪・関西万博を機に全国に誘致する。
海外旅行関連では、若者の国際交流促進に175%増の5500万円を求めた。国内でモデル地域を選定し、地域の関係者が一体となり各国政府観光局等と連携した双方向交流を創出する。
そのほか、東北の復興枠予算には横ばいの7億6500万円を要求した。
旅客税は各方面から徴収額や使途の見直し要望が相次ぐ。しかし、19年の導入後にコロナ禍があり、観光庁は制度のレビューがし切れておらず、「見直しの議論にいきなり着手する状況にはない」としている。
【あわせて読みたい】国際観光旅客税の使い道 高まる使途拡大の声 2024年3月11日号>国際観光旅客税の使い道 高まる使途拡大の声
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