CO2削減の旅を国内スタンダードに 日産・日旅ら14社が推進 50年にネットゼロへ

2024.08.26 00:00

都内でプロジェクトを発表した日産の神田昌明常務執行役員(左)と日旅の小谷野社長

 日産自動車と日本旅行が発起人となり、二酸化炭素(CO2)の削減と地域の持続的発展につながる旅の普及を目指す、新たなプロジェクトが始まった。観光産業は世界のCO2排出量の約1割を占めるとされる。ただ、日本では意識が低く、国内旅行需要が高まっているこの機を捉え、旅のサステナブル化を推進する。CO2排出量のオフセット(相殺)では根本的解決が図られないと見て、削減を重視した。

 プロジェクト名は「グリーンジャーニー」。14企業・団体が参画する推進組織を発足させた。EV(電気自動車)やCO2排出量が低い鉄道での移動を軸にしたパッケージツアーをつくり、販売を開始した。第1弾は、持続可能な地域づくりに積極的な熊本県阿蘇市と三重県伊勢志摩エリア。廃棄されればCO2排出を生む未利用魚を活用した食事も開発した。旅行者は専用のアプリを通じてCO2削減率を確認できたり、伝統文化への理解を深めることができる。

 50年までのカーボンニュートラルを掲げEV普及に取り組む日産が日旅に話を持ちかけた。日旅は21年からCO2オフセット商品を販売してきたが、削減へ踏み込んだ格好。小谷野悦光代表取締役社長は「サステナブルな旅行のスタンダード化を図りたい」という。

 体験プログラムでは、文化の継承に取り組む地元の人々がホストとなり、共同作業を通じて交流する。旅行後はLINEで動画などが届く仕組みとし、関係人口の創出につなげる。

 入り口はあくまで“楽しい旅”。消費者にとって持続可能な観光へのハードルは高い。ツアーにすることでアクセスしやすくし、敷居を下げる。33年までに200地域に広げ、延べ利用者1000万人以上に増やし、50年までに国内旅行のネットゼロを目指す。

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