2024年8月19日 12:00 AM
多文化共生社会の推進に関する条例を23年4月に施行し、観光振興に取り組む地域がある。観光立村をうたう長野県白馬村だ。楽天グループが8月1~4日に都内で開いた体験イベント「Rakuten Optimism」のビジネスセッションに丸山俊郎村長が登壇し、施策を披露した。テーマは持続的な観光まちづくり。そこから見えてきた鍵は受容と住民参加型だ。
丸山氏は家業である温泉宿の総支配人を経て、22年に村長就任。就任前から、旅館業の傍ら地域振興の企画・運営に携わってきた。その1つが、グリーンシーズンのてこ入れに旅館青年部の面々と立ち上げたトレイルラン。10年以上続くイベントに育った。次世代育成のため、白馬高校国際観光科の生徒が1泊2日で宿の業務に携わる体験学習「高校生ホテル」も企画した。
条例には、国籍等の違いによる偏見を解消すること、個人が地域社会の対等な構成員として活動に参画することなどが掲げられている。
文化の違いを知り学ぶことの重要性は宿で実証済み。外国人客の不便を解消するために布団を何段も重ねた簡易ベッド、身振り手振りを交えた積極的なコミュニケーション、地酒の試飲体験などが「ラグジュアリー(そこにしかない価値)」と評価され、世界的なホテルアワードで最高賞を受賞した。丸山氏は「一度外に出てみること、そして迎え入れる姿勢が大事」と語る。
楽天グループでトラベル事業を束ねる髙野芳行常務執行役員は「観光産業を伸ばしていく上でインバウンドと地方の観光の発展が重要」とする。トラベル事業の流通総額は23年に初の1兆円を超え好調。そうしたなか、7月に長野県と包括連携協定を結ぶなど、地域課題解決に力を注いでいる。
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