国立公園の高級ホテル誘致に懸念 日本自然保護協会が国に意見書
2024.08.12 00:00
日本自然保護協会は、国立公園全35カ所へ高級リゾートホテルの誘致を国が推進する方針との報道を受け、自然保護上の問題を指摘する意見書を国に提出した。一律に新たな大規模宿泊施設を誘致することは自然環境と景観の破壊を招き、国立公園の価値を劣化させ得るとの懸念を表明している。
7月の観光立国推進閣僚会議で、岸田文雄首相がネイチャーツーリズム拡大の視点から民間活力による魅力向上事業の実施を指示。具体策の1つとして、滞在環境の向上へ31年までに全35カ所に質が高く長期滞在が可能な宿泊施設を整備する方針を伝えた。先行して4つの公園で行う先端モデル事業では、公募で整備の担い手を選ぶ。
国立公園はそれぞれに置かれている状況が多様で、協会によると、特に尾瀬、南アルプス、小笠原などは公園区域内に山小屋以外の大規模な宿泊施設や市街地が含まれていない。これらに高級リゾートなど大規模施設を誘致することは大きな問題と指摘する。
また、自然と親しむ機会をつくる上で滞在体験の魅力向上事業自体は否定されるものではないとする一方、「自然環境保全に加えて、地元の合意、地元関係者の参画が大前提」と論じる。政府が求める世界水準のナショナルパーク化の実現には、国立公園内の自然環境の把握や保全、荒廃した施設の整備などをまずは進めるべきとした。
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