航空燃料供給不足で緊急対策 アジア週150便相当確保へ 輸送力強化や増便情報の共有

2024.08.05 00:00

 インバウンド需要が急回復するなか、外国航空会社の新規就航・増便のニーズに対して、航空燃料の供給ができず断念する事態が全国各地で起きている。その規模は週140便にも達している。インバウンド拡大を阻害する要因として表面化したことから、国土交通省は経済産業省と共に、官民連携で取り組む緊急の行動計画を策定した。

 背景には、製油所の統廃合により空港までの輸送距離が拡大し、時間や手間が増えたことがある。人手不足も響いた。外航が石油元売り会社に燃料供給を打診する時期が遅いことも一因。

 対策は短期と中長期の視点での2段構え。燃料の生産増・輸入増に加え、タンクローリー車の運転手不足などを解消するための人員確保などを進める。

 取り組みはすでに始まっている。まず燃料需要量の正確な把握に努める。増便などで必要となる需要量を各空港が精査し、元売り会社の年間燃料供給計画に役立つよう、空港会社などから情報を早めに提供する仕組みをつくった。元売り会社はこれを基に航空会社からのオファーに備えて対応する。

 供給力の確保では、商社や元売り会社が空港会社などと連携して燃料を輸入し、一時保管のための油槽所を経由せずに、空港の燃料タンクに直接搬入する。7月には成田空港向けにアジア便300便相当の燃料を供給した。

 製油所から空港へのタンクローリー車での直送も増やす。予備車両や運転手の確保を運送会社と調整して、アジア便で週150便相当の地方空港向けの配送力を確保する。製油所から油槽所への内航船の輸送力も強化する。

 来年度以降、製油所・油槽所の既存のタンクをジェット燃料タンクに転用して供給力を確保する。タンクローリー台数のさらなる確保も進める。