国立公園のホテル整備、全35カ所へ 地方誘客で政府方針 31年までに実現
2024.07.29 00:00

訪日市場が旅行者数・消費額ともに過去最高値を大きく更新する急成長を見せている。年間3500万人・8兆円が現実味を帯び、30年目標の6000万人・15兆円が視野に入る状況を踏まえ、政府は地方への誘客促進とオーバーツーリズムの防止・抑制に向けて重点的に取り組む施策を打ち出した。その中で注目を集めるのが、国立公園の滞在環境の向上。全国の35カ所すべてに質が高く長期滞在が可能な宿泊施設を整備する。
7月19日に開いた観光立国推進閣僚会議で岸田文雄首相が方針を伝えた。環境省は16年に開始した国立公園満喫プロジェクトで、利用者数だけでなく在時間を延ばして保護と利用の好循環を生み出そうと、現在4つの公園で先端モデル事業を進めている。宿泊施設を中心にアクティビティーや景観を含め面的に整備する事業で、全国に広げる方針を示したのは初めて。国立公園制度100周年を迎える31年までの実施を指示した。
宿泊施設が備わる国立公園はあるものの、アドベンチャーツーリズム旅行者などのニーズに応え得る質の高い施設は少ない。十和田八幡平などで進められているモデル事業では、民間企業の発想を生かした滞在体験の向上を図ろうと、公募で整備の担い手を選ぶ。
ただ環境省は全国に広げるうえで、必ずしも高級リゾートなどの誘致を前提とせず、既存の施設を改修してアップグレードする形も考えられるとする。「国立公園ごとに特徴はさまざま。どのような方向が合っているのか、地域の理解と調整を踏まえ進めていく」(国立公園課)
民間の視点も欠かせない。今後、市場性やハードルに成り得る規制の有無など調査が必要としている。
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