Travel Journal Online

釜石市、持続可能な観光でまた称号 日本初のゴールド賞 鍵は地域のマネジメント

2024年7月22日 12:00 AM

日本のキャンプ場として初めて国際エコラベル「グリーンキー」を取得した根浜シーサイド

 釜石市は、持続可能な観光の国際認証機関グリーン・デスティネーションズ(GD)が地域を表彰するアワードで、日本で初のゴールド賞を受賞した。19年のブロンズ賞、22年のシルバー賞に続く称号で、レベルを1つ上げた。市は「世界の持続可能な観光地100選」にも18年から6年連続で選ばれている。持続可能な観光地を目指す地域は増えているが、表彰など実績を上げ続けているところはまれ。背景にはDMOの中長期視点とマネジメントがある。

 GDは認証までのプロセスに、評価項目の達成率に応じて段階的な表彰制度を設けている。釜石市は80%以上を満たしたと評価された。ランクアップの要因について、かまいしDMCの河東英宜代表取締役は弱点の補完を挙げる。例えば、環境面ではわかめ・昆布由来のブルーカーボン制度の創出、経済面ではワーケーション制度の普及に取り組んだ。基準を完全に満たしたと評される項目数は特に「観光地管理」と「環境と気候」の領域で伸びた。

 これらは来訪者のカーボンオフセット購入など、持続可能な観光を担保する経済活動に結び付いている。「経済活動による収益がなければ環境などに投資できない。環境、経済、社会・文化の適切な均衡を保つために最も重要なことは、地域のマネジメント」(河東代表)。体験プログラム等で得る売り上げは年間3000万円に上る。

 地域の関係者を同じ方向に向かわせることも重要だ。その一例ともいえるのが、管理運営を行う根浜シーサイドの国際エコラベル取得。日本のキャンプ場で初めてグリーンキーの認証を得た。「国際基準は何を要求しているのかを把握することで、スタッフの意識は高まり地域にも伝播する。ベクトル合わせに必要」としている。

【あわせて読みたい】観光立国推進基本計画、人数から質重視に転換へ 新目標案に持続可能な観光地域数[1] 乱立するエコラベル どうする持続可能な観光の認証取得[2]

Endnotes:
  1. 観光立国推進基本計画、人数から質重視に転換へ 新目標案に持続可能な観光地域数: https://www.tjnet.co.jp/2023/02/20/%e8%a6%b3%e5%85%89%e7%ab%8b%e5%9b%bd%e6%8e%a8%e9%80%b2%e5%9f%ba%e6%9c%ac%e8%a8%88%e7%94%bb%e3%80%81%e4%ba%ba%e6%95%b0%e3%81%8b%e3%82%89%e8%b3%aa%e9%87%8d%e8%a6%96%e3%81%ab%e8%bb%a2%e6%8f%9b%e3%81%b8/
  2. 乱立するエコラベル どうする持続可能な観光の認証取得: https://www.tjnet.co.jp/2024/04/08/%e4%b9%b1%e7%ab%8b%e3%81%99%e3%82%8b%e3%82%a8%e3%82%b3%e3%83%a9%e3%83%99%e3%83%ab%e3%80%80%e3%81%a9%e3%81%86%e3%81%99%e3%82%8b%e6%8c%81%e7%b6%9a%e5%8f%af%e8%83%bd%e3%81%aa%e8%a6%b3%e5%85%89%e3%81%ae/