観光庁、デジタルノマド実証に5事業を選定 受け入れ体制の整備推進

2024.07.15 00:00

 観光庁は国際的なリモートワーカー(デジタルノマド)の誘客に向け、先駆的に取り組むモデル実証事業に5つの事業を選定した。デジタルノマド市場は世界的に急成長しており、長期滞在による地域消費の拡大や経済効果が期待できるとあって世界各国が誘致に取り組む。日本でも4月から専用ビザの発給を開始するなど熱い視線を送っている。誘致促進の一環として、受け入れ環境と体制整備に関する実証事業を公募していた。

 採択事業の実施地域は、①宮崎県日向市、②石川県金沢市、③福岡県福岡市・大分県別府市・長崎県長崎市・五島市、④和歌山県・白浜町、⑤沖縄県名護市・北部やんばるエリア・沖縄市。

 このうち、日向市は「新たなコミュニティ形成に向けたローカル・デジタルノマドワーケーション実証事業」を行う。市はこれまでも官民連携でデジタルノマドを含むワーケーション誘致に力を入れてきた。ローカル(地方都市)の魅力発信に注力したモニターツアーを9月下旬と11月をめどに実施する計画で、市内にとどまらず県内の周遊、大分県別府市と連携した広域での滞在やビジネス交流などにもチャレンジする。

 他自治体と組んだ広域での受け入れは、福岡市の事業にも見られる。そのほか、保育園留学で知られるキッチハイクが申請主体となり採択された和歌山県での事業では、家族向け長期滞在プログラムを予定している。

 観光庁は1事業当たり1000万円を上限に、継続的に受け入れる体制の構築と地域戦略の策定、滞在プログラムの造成、モニターツアーの実施、滞在中のフォロー体制の整備、情報発信、効果検証などを支援する。選定地域は地元での調整を重ねながら、本格的な事業展開に乗り出す。