2024年6月17日 12:00 AM
次の世代に誇れるツーリズム産業の姿とはどのようなものか。また避けたい姿とは。週刊トラベルジャーナル創刊60周年&渡航自由化60周年特別編集号「ツーリズムの現在地と未来」発行に際し、キーパーソン90人へのアンケート調査で得た回答を紹介する。アンケート結果の全容は週刊トラベルジャーナル24年6月17日号[1]で。
「同じ土俵で無駄な価格競争をしないこと」
「政治家に“オーバーツーリズム”や“観光公害”と言わせないこと」
「従業員の幸福度・満足度が低く、会社としての収益性・成長性が低い状態」
「地球規模のサステナビリティーを無視してまでの自己都合主義のビジネス」
「まとまりのない産業、経済的疲労感の印象を与える姿」
「さまざまな産業からうらやましく見えない給与、待遇、やりがい、人間的な成長」
「日本版発地型マスツーリズムの終了を自覚できない状態」
「円安が収まった際に外国人レートが常態化して残ること」
「自分の仕事に対して誇りや自信を失った先輩・上司の姿がないこと」
「受け入れ地のリソースが持続可能とならない観光・旅行関連の経済活動」
「生産性の向上とある程度の価格上昇との整合性が取れていない観光産業」
「AR・VRなどバーチャル、ゲーム・漫画や他のレジャー活動との競合の下で、現地を実際に体験する意義や効果を的確に提示できていない観光産業」
「地域を単に消費するだけの産業の姿」
「観光人材不足、人材の質の低下」
「景観に合わない新しい施設を次々と造ること」
「オーバーツーリズムによる地域社会・自然環境の破壊」
「局地的なオーバーツーリズムやインバウンドに偏った情報発信」
「生産性が低く予算消化型の観光振興が継続している状態」
「3K職場の集合体のままで自然消滅していく姿」
「外国人が不動産を含めた地域資源を買い占め、外国人の外国人による外国人のための観光が浸透し、日本人が阻害されている状態」
「価格競争激化による待遇悪化、離職率上昇と人材不足の悪循環」
「労働集約型で低効率な産業の代名詞になること、最もサステナビリティーが低い産業の1つになること」
「時流に流され、目先の利益ばかりを追ってしまうようなあり方」
「海外資本による占領と日本人の従属化」
「優秀な人材の確保ができず、他産業と比較して劣悪な待遇」
「世界的に過疎化と都市への人口集中が進み、多様性のない観光地ばかりになってしまうこと」
「敗北主義」
「インバウンド旅行者に対する差別や偏見」
「若い人が働きたくないと思ったり、知らない・関心がないと言われてしまう産業」
「SNSを中心としたサステナビリティーマネジメントを欠くプロモーション」
「地域のルーツを軽視し、ブームを追いかけた観光戦略」
「経済格差を前提にした観光(経済的に強い地域から弱い地域に行くような、文化差ではなく経済格差を利用した観光)」
「オーバーツーリズムと動物虐待や環境破壊を伴うアクティビティー」
「イノベーションが起きず、待遇の悪い環境」
「観光と地域のあつれきが起き、地域側から観光客の対策や反対運動などが起きること」
「DX推進の停滞、サステナビリティーへの視点の欠如、顧客起点でない戦略に固執する産業」
「自社の利益しか考えない、考えようとしない企業が集まった産業」
「旅行者のインサイトとはかけ離れた商品やビジネスモデルの構築、単なる覇権争いのための無意味な業務提携」
「数を追うだけで生活者を無視した観光」
「有名観光地にしか行わない不動産投資」
「安売り競争に血道をあげる産業」
「市場が求める価値を提供できず、社会の変化に対応できていないこと」
「優秀な人材が自己実現できず、魅力や誇りを感じられない業界」
「利益追求が主目的になり、利益が出ることを基準にして企業が経営を行っている状況」
「お金だけをもうけるビジネスになること」
「ツーリストシップを理解することなく、都市圏や外資の観光事業者、観光とは関係ない事業者の参入が、地域の資源を収奪し不幸をもたらす産業」
「離職率上昇と人材不足」
「薄利多売、過当競争に拍車がかかる悪循環」
「人員不足により、旅行業界全体のサービスの質が下がること。需要に応え切れなくなることは最も避けるべき事態」
「多様性の少ないサービスでの単なる値段競争によって質が低下すること」
「価格競争による観光地の疲弊」
「優秀な人材を確保できない職場、利益率を上げられないビジネスモデル」
「産業としての魅力に乏しく、優秀な人材が集まらない姿」
「安心して働くことができない労働環境」
「画一的で旧態依然とし、稼げず、給料も安い、元気のない姿」
「顔が見えないこと。新型コロナの5類移行から1年たつが、日本のマスク着用率の高さは世界的に見て異常。皆がのっぺらぼうで顔の見えない国には二度と訪れたいとは思わないだろう。笑顔の大切さが商売の基本であるはずのツーリズム産業において、顔を隠し続けているのはホスピタリティーの放棄に他ならない」
「日本が安価な労働力に支えられた単なる安い観光地になること」
「旧態依然のビジネスモデルに固執した低収益性」
「人間が持つ普遍的な価値観とニーズに応えられない産業」
「外国人のためのツーリズム産業になってしまうこと。日本人が旅をしなくなる、できなくなるシチュエーションは何としても避けたい」
「観光産業の3K化(給料が安い、希望が持てない、休日が取れない)」
「ツーリズム産業従事者の離職や学生に人気だった大手旅行会社でさえ内定辞退が急増している。Z世代は以前と違い、やりがいだけでは継続して働かない。結果、営々と築いたツーリズム産業のホスピタリティーやノウハウを伝承できなくなること」
「顧客をないがしろにしたつくり手目線で独善的な産業になってしまうこと」
「特定の観光地にだけ集客が集中し、日本全体としてのツーリズムの発展が阻害されること」
「自社の利益ばかりを追いかける薄利多売・低賃金・過重労働産業」
「既存のビジネスモデルに固執し、新たな技術やイノベーション、それによる新たなニーズの芽を業界として拒絶してしまうことが最大の懸念」
「環境(自然・生活)破壊、労働環境悪化、農林水産業の衰退、都市と地方のアンバランス」
「オーバーツーリズムによる規制からの旅行離れ・縮小」
「各種規制や既得権益が保護されたまま、訪日客数を追い求めること。次の世代の若者やスタートアップ企業が業界の表舞台で活躍できる土壌をつぶすことだけは避けなければならない」
「諸外国と比較して圧倒的なDX化の遅れの二の舞を回避したい」
「人材不足→ビジネスチャンスの逸失・売り上げ減少→収益悪化→待遇悪化→人材不足の負のスパイラル」
「文化の商品化、異文化の持ち込みによる地域固有の文化の崩壊、環境破壊につながる観光開発」
「住民の観光客アレルギー」
「観光従事者の地元比率や観光事業者の地域資本率がほぼゼロとなること」
「異常気象や地球温暖化により、長期的には競争優位の源泉の1つであるはずの環境が不可逆的に破壊されてしまうこと。また、それによりツーリズム産業に対する地域のモチベーションが失われてしまうこと」
「プロダクトアウト。業界の利潤や企業の利益、効率だけ見ているような業界にはなってほしくない」
「観光公害などにより、持続的な成長が阻害されている状況」
「シェア取りや数の追求による価格競争で、ビジネスモデルとして適正な料金が得られない状況」
「質(高付加価値・真のファンづくり)ではなく、相変わらずの目先の量(観光客数)のみを追求するような姿」
「地域事情や利用者の体験価値に寄り添うことなく規模の拡大を追求する姿」
「産業の価値や魅力を伝え切れずに担い手が不足している状況」
「重鎮による老害」
「グループの安価旅行」
「後手後手のクライシス対応」
「待遇悪化による業種プレゼンスの低下」
「サービス提供と顧客ニーズとのアンマッチ」
「夢が持てない産業と見られること」
「ツーリズム産業は住民や関係機関、地域産業など幅広いステークホルダーに波及が大きいため、目標の誘客人数だけが先行してステークホルダーにデメリットが生じる事態」
「低賃金、3K」
「本来の文化を観光がねじ曲げ、観光客にこびる観光」
「国際対応と感覚の遅れ(アウトバウンドもインバウンドも)」
【あわせて読みたい】観光産業のキーパーソンが思う「次世代のために誇れる姿・避けたい姿」①[2]
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