2024年1月29日 12:00 AM
日本から出国する旅客から徴収する国際観光旅客税を巡り、使途の拡大を求める声が上がり始めた。日本観光振興協会は1月16日の第10回観光立国推進協議会で、観光の価値向上と持続可能な観光産業に向けて意見交換を行うなか、「DMO の機能向上に国際観光旅客税の税収を生かせる策を講じるべき」との考えを示した。JATA(日本旅行業協会)も、日本人の海外旅行回復に向け、旅客税を活用したパスポート取得促進策を強く要望した。
国際観光旅客税は、観光先進国実現へ基盤を強化するための財源確保を目的に、19年に導入された。外国人のみならず日本人も対象で、出国1回につき1000円を航空券代などに上乗せして徴収する。使途は、先進性や重要性が高く、税負担者の理解が得られ、政策課題に合致し、快適な旅行環境の整備や地域での体験滞在の満足度向上に充当、などと規定。観光庁の24年度予算で旅客税財源は403億円で、主に訪日客の受け入れ環境向上やプロモーション、出入国整備に投じられる。
DMOは全国的に財源不足という課題を抱える。日観振は、観光産業の人手不足への取り組み強化などとともに、地域の安定的な財政運営に必要な財源の確保と充実を提言書に盛り込み、今後、国土交通相に提出する。観光庁予算ではDMOの体制強化に4億円が配分されているが、財源に関してはあくまで確保に向けた計画の策定や勉強会の費用を支援することが目的だ。
一方、海外旅行では、旅行安全情報共有プラットフォームの整備を除き、旅客税は充当されていない。お金が落ちる先が海外という性質上、投じづらいというのが観光庁の本音だが、日本人も税負担者。使途を巡る議論が今後活発になる可能性は否めない。
【あわせて読みたい】観光庁予算、24年度503億円 旅客税増額で1.6倍 双方向交流は措置見送り[1]
Copyright © TRAVEL JOURNAL, INC. ALL RIGHTS RESERVED.