2023年12月18日 12:00 AM
シニア向けの媒体から問い合わせをいただく機会が増えている。つまり吾輩がシニアに近づいているということであるが、取り上げるテーマがユーザーアンケートで要望が多かった「ひとり旅」で、ほかに頼む相手が見当たらないからとりあえず連絡してきた、というのがほとんどのパターンだ。
面白いのが、内容のリクエストが「温泉にひとりで行き気まずくない方法を」「夫に留守を頼む方法は」「旅は脳活にいいという切り口も」など、そんなの分からない……というのも含め、具体的で細かいこと。これが20 ~ 30代向けだと、“旅は人生を変える”といった精神論を求められることが多い。
そんな流れをくんでか、書店にもぽつぽつとシニア向けの旅指南書が並ぶようになってきている。今回ご紹介するのもそんな一冊。人気スタイリスト(海外経験豊富で旅ファッションの知識が深いせいか、女性向けの旅本はスタイリスト著作がけっこう多い)が旅のコツを伝授するノウハウ本だ。
「旅は何かを捨てるのにも役立つのです」「旅だけに限らず『すべてのことは一期一会』と考えるようになりました」
おお、大人の旅である。
記載されている旅のテクニックも、「基本は『体が楽な服』」「小さな空のスプレーボトルを旅先に持っていくと本当に便利」(服のシワに水スプレーする)など、大人の女性に役立つ情報が満載で読みやすく分かりやすい。
若いころ散々旅をした(金銭的にもできる環境にあった)シニアは旅の良さを肌で知っている世代だ。ライフサイクルが一区切りついたタイミングでいま一度旅へ、できればひとりでゆっくりと、と思うのは自然な流れかも。海外旅行のひとつのけん引者になってくれるとよいのだけれども。
山田静●女子旅を元気にしたいと1999年に結成した「ひとり旅活性化委員会」主宰。旅の編集者・ライターとして、『決定版女ひとり旅読本』『女子バンコク』(双葉社)など企画編集多数。最新刊に『旅の賢人たちがつくった 女子ひとり海外旅行最強ナビ』(辰巳出版)。京都の小さな旅館「京町家 楽遊 堀川五条」「京町家 楽遊 仏光寺東町」の運営も担当。
Copyright © TRAVEL JOURNAL, INC. ALL RIGHTS RESERVED.