2023年11月20日 12:00 AM
東京観光財団とJTB総合研究所は、旅行会社の脱炭素に向けた取り組みを考察した共同研究を発表した。世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)が21年に公表した旅行・観光業の脱炭素化推進に関する調査資料を題材に、日本の観光業界の実情に照らし提言などをまとめた。
旅行・観光産業が世界の温室効果ガス排出量に占める割合は19年時点で8~11%と高い。脱炭素化の促進が求められるが、特に旅行業者は目標を設定している企業が少なく、最も遅れているのが実情だ。ホテルなど資産を持つ企業と持たない企業、オンラインや販売に特化した企業など事業形態が混在し、目標設定の前提である排出量の算定が難しいことなどが背景にある。
それでも各社が排出量削減のためにできることは大きく2つあるとレポートでは指摘する。1つは顧客の旅行における排出量削減。もう1つは、社員の出張やオフィスの省エネ化など、自社の活動における排出量の削減だ。
顧客の旅行における排出量削減では、できるだけ排出量の少ない交通手段を選んでもらうこと。環境に配慮したホテルへの宿泊、地産地消を意識した食事の提供などが具体策となる。
自社の活動では、資産を持たない旅行会社の場合、排出量が最も多いのは従業員の出張で、その次がオフィスのエネルギーと廃棄物。対策として在宅勤務の併用、出張に代わりオンライン会議の推奨、オフィスでは再生可能エネルギーへの転換や、紙・パンフレットなどの廃棄物削減などを掲げる。
まずは算定可能な分野から排出量を可視化。そのうえで中長期目標を掲げて取り組み、その結果を公表し、脱炭素へのコミットメントを国内外に発信することを求めている。
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