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大阪IR、30年に開業延期 初期投資額1900億円増 初年度来訪者数は引き下げ

2023年9月18日 12:00 AM

 大阪ベイエリアへのカジノを含む統合型リゾート(IR)開業を巡り、大阪府・市とIR事業者の大阪IRは9月8日、国に開業を約1年延期する整備計画変更の届け出と、自治体と事業者による実施協定締結の認可申請を行った。開業時期はこれまで想定していた29年秋~冬ごろから30年秋ごろに遅れる。また、建設資材の高騰などから、初期投資額は約1兆800億円から1兆2700億円に膨らむ。増額分は事業者の中核である日本MGMリゾーツとオリックスが出資額を増やして賄う。

 開業時期の変更は、国による整備計画の認定が想定していた22年秋ごろから23年4月にずれ込んだことが発端。工程の再調整なども加わって、約1年遅れでの開業を目指す。また、資材価格はここ2年間で約20%、人件費は約9%上昇しているといわれ、初期投資がかさむことになった。

 実施協定の認可と締結が順調に進めば、今年秋ごろから建設予定地である夢洲の地盤改良工事に着手。25年春ごろからIR 本体の建設に取り掛かる。

 カジノ施設に加え、国際会議場、日本の魅力を発信する関西ジャパンハウス、日本各地に観光客を送り出す関西ツーリズムセンター、大規模なバス・フェリーターミナル、高級ホテルなどを併せて整備する。開業1年目に762万人としていた来訪者数の計画も見直し、611万人に引き下げた。

 なお、国土交通省のIR整備計画審査委員会は開業延期について、事業工程の必要最小限の変更であり、計画の適正な実施に支障を及ぼす恐れはないとの見解。政府の30年の観光戦略目標への貢献に関しては、開業以降に訪日客数や消費額増への貢献が見込めるほか、開業が1~3年程度後ろ倒しになるリスクは織り込み済みとしている。

【あわせて読みたい】大阪IRの通信簿 審査結果に見る期待と課題[1] 大阪のIR計画、遂行能力や施設を評価 訪日客誘致には課題 政府が初認定[2]

Endnotes:
  1. 大阪IRの通信簿 審査結果に見る期待と課題: https://www.tjnet.co.jp/2023/06/12/%e5%a4%a7%e9%98%aair%e3%81%ae%e9%80%9a%e4%bf%a1%e7%b0%bf%e3%80%80%e5%af%a9%e6%9f%bb%e7%b5%90%e6%9e%9c%e3%81%ab%e8%a6%8b%e3%82%8b%e6%9c%9f%e5%be%85%e3%81%a8%e8%aa%b2%e9%a1%8c/
  2. 大阪のIR計画、遂行能力や施設を評価 訪日客誘致には課題 政府が初認定: https://www.tjnet.co.jp/2023/04/24/%e5%a4%a7%e9%98%aa%e3%81%aeir%e8%a8%88%e7%94%bb%e3%80%81%e9%81%82%e8%a1%8c%e8%83%bd%e5%8a%9b%e3%82%84%e6%96%bd%e8%a8%ad%e3%82%92%e8%a9%95%e4%be%a1%e3%80%80%e8%a8%aa%e6%97%a5%e5%ae%a2%e8%aa%98%e8%87%b4/