2023年8月14日 12:00 AM
富士山への登山者数は今夏、新型コロナウイルス関連の規制解除に加え、世界遺産登録10周年の節目に当たることから、過去10年間で1、2位を争う登山者数となる見通しだ。混雑による転倒や落石などの事故を未然に防ぐため、山梨県は静岡県とも連携し、登山者数がピークとなるお盆の時期を避けること、弾丸登山や軽装での日帰り登山はやめることなど安全確保への注意を呼び掛けている。混雑時には、初の試みとなる登山規制も行う。
特に危険と指摘されるのが、山小屋に宿泊せず、夜通しで一気に山頂でのご来光を目指す弾丸登山。疲労がたまりやすく、高山病や低体温症などの体調不良や事故につながりやすい。山小屋を利用して余裕のある登山計画を呼びかけているが、山小屋の多くはかつてのすし詰めをやめ、宿泊客の快適さを重視して定員をコロナ禍以前の3分の1から半数程度に減らしたため、弾丸登山の増加が懸念されている。
危険を伝えるチラシを作成し、登山口などで配布するほか、旅行業協会や日本政府観光局(JNTO)などにも周知拡大の協力を要請した。「限られた日程の中で日本を楽しもうとするためか、外国人客に多い傾向がある」(山梨県観光文化・スポーツ部)ことから、インバウンドの回復とともに新たな危惧が浮上した形だ。
山梨県は吉田口登山道で9月10日まで、過度に混雑して転倒や落石などにより登山客の命が危険と判断される場合には、必要な箇所で登山客の待機を促す規制措置を行うことにした。特に日の出前後の山頂付近で登山客が動けなくなると低体温症になったり、混雑した登山道で道の端や道の外を歩く登山者がいると落石事故の原因となることを防止する。
Copyright © TRAVEL JOURNAL, INC. ALL RIGHTS RESERVED.