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旅行業のSDGs、大手先行も中小健闘 JATAアワード 鍵は自分ごと化や自治体連携

2023年6月26日 12:00 AM

第1回SDGsアワード優秀賞を受賞した4社の面々。前列中央は坂元審査委員長

 JATA(日本旅行業協会)の第1回SDGsアワードの大賞に、エイチ・アイ・エス(HIS)がカンボジアで長年行う事業が選ばれた。現地の子供たちに学びの機会と楽しさを提供する取り組みで、無料で通える小学校を設立し、スタディツアーでの交流を通じて日本人にも気付きを与える点が評価された。各賞受賞者の多くを大手旅行会社が占め、SDGsの推進は大企業が先行する構図。一方で、中小でも少しずつ進みつつあるようだ。

 SDGsの推進は企業経営に不可欠だが、旅行業界は他の業界に比べ遅れが目立つ。まず理解を深めることが必要として、JATA は事例を共有し実践に結び付ける目的で表彰制度を設けた。

 応募件数は26社75件。社会・人権、経済・産業、地球環境、共創の4部門で優秀賞、特別賞、奨励賞を選出した。優秀賞にはHISのほか、観光業界のCO2排出量削減を目指すJTBコミュニケーションデザインのCO2ゼロMICE・CO2ゼロSTAY、クラブツーリズムの登山道整備プロジェクト、一定基準を満たした宿泊施設を認定バッジで表示する楽天グループの施策が選ばれた。

 審査委員長の坂元隆JATA社会貢献委員会委員長(読売旅行代表取締役会長)は「予想以上に中小からも応募があり、第一歩として手応えを感じている」と話す。3部門で受賞したのが沖縄ツーリストだ。慶良間諸島全島一斉ビーチクリーンなど、地域一体となった施策が評価された。「中小ができるとしたら、こうした自治体やDMOとの連携ではないか」(坂元委員長)

 推進の鍵は何か。受賞者は「自分ごととして考えてもらえる仕組みをつくること」(HIS)、「コストではなく投資と社内で理解してもらうこと」(楽天グループ)と助言した。

【あわせて読みたい】SDGs、観光産業の遅れ顕著 ビジネスの効果重視、リソース確保に課題[1] JATA、ツアーオペレーター品質認証に新評価基準 SDGsの取り組み追加[2] 2022年3月14日号>ツーリズムのグラスゴー宣言 気候変動対策が本格始動[3]

Endnotes:
  1. SDGs、観光産業の遅れ顕著 ビジネスの効果重視、リソース確保に課題: https://www.tjnet.co.jp/2021/07/05/sdgs%e3%80%81%e8%a6%b3%e5%85%89%e7%94%a3%e6%a5%ad%e3%81%ae%e9%81%85%e3%82%8c%e9%a1%95%e8%91%97%e3%80%80%e3%83%93%e3%82%b8%e3%83%8d%e3%82%b9%e3%81%ae%e5%8a%b9%e6%9e%9c%e9%87%8d%e8%a6%96%e3%80%80/
  2. JATA、ツアーオペレーター品質認証に新評価基準 SDGsの取り組み追加: https://www.tjnet.co.jp/2022/07/25/jata%e3%80%81%e3%83%84%e3%82%a2%e3%83%bc%e3%82%aa%e3%83%9a%e3%83%ac%e3%83%bc%e3%82%bf%e3%83%bc%e5%93%81%e8%b3%aa%e8%aa%8d%e8%a8%bc%e3%81%ab%e6%96%b0%e8%a9%95%e4%be%a1%e5%9f%ba%e6%ba%96%e3%80%80sdgs/
  3. 2022年3月14日号>ツーリズムのグラスゴー宣言 気候変動対策が本格始動: https://www.tjnet.co.jp/2022/03/13/contents-121/