2023年6月5日 12:00 AM
青森県弘前市は7月にガイドを育成する基盤として「ひろさきガイド学校」を立ち上げる。市にはボランティアを含め複数のガイド団体が存在するが、育成方法が異なり質にばらつきが見られるほか、高齢化などで人材の先細りが懸念される。座学などを通じた養成から活躍の機会の提供まで含めた仕組みをつくる。観光に精通する櫻田宏市長の肝入り事業で、ガイドを観光にとどまらず市の強みを打ち出すための要と位置づけた。
弘前観光コンベンション協会が運営を担い、インバウンドガイド協会がカリキュラムの組み立てや講師派遣などで監修する。あらかじめ国内・訪日など進路の希望を聞き、それに合わせて人材リストに登録。行政と観光事業者が観光コンテンツの開発を並行して進めつつ、活動の機会を提供する。1日じっくりと旅行者に付き添い、有償で訪日客にも対応するガイドを育てる。
弘前市は早くに個人旅行の流れを捉え、祭り見物などの団体観光から日常生活をコンテンツとする観光へかじを切った。08年に始めた「弘前感交劇場」はその象徴で、住民を巻き込んだ交流に取り組んできた。今後の観光を考えた時、その答えがガイドだった。
櫻田市長は「副業的にガイドをする人が至る所にいてほしい」と話す。例えば農閑期の農家。弘前市は5月、持続可能な「日本一のリンゴ産地」実現への取り組みが認められ、SDGs未来都市に認定された。生産にまつわるストーリーが直接伝われば重みが変わり、滞在や消費につながる。「ガイド育成はまちづくりの手段」(同)との考えだ。
広域観光も視野に、ガイド学校のノウハウは津軽圏域14市町村でつくるDMOに共有する。ガイドは早ければ来年度の活動開始を見込む。
Copyright © TRAVEL JOURNAL, INC. ALL RIGHTS RESERVED.