2023年3月20日 12:00 AM
航空業界の労働組合で組織する航空連合が行った地上職の接客現場におけるカスタマーハラスメント(カスハラ)に関する組合員アンケートで、全体の4割近く(37%)が、この1年以内に利用者や取引先から著しい迷惑行為を受けたことがあると回答した。職種別では旅行予約がトップで59%、次いで空港旅客サービスが52%と、この2つの職種ではカスハラ経験が5割を超える状況となっている。
航空業界では客室乗務員に対する盗撮など機内での迷惑行為の問題が近年クローズアップされ、防止・抑止に向けた法整備も進みつつあるが、客室乗務職以外の実態を調べたのは今回が初めて。調査は22年12月に実施し、652人から回答を得た。
内容は暴言や執拗なクレームが70%以上で多数を占めるが、過度なサービス要求やセクハラ、無断撮影など多岐にわたる。具体例として旅行予約のコールセンターでは、キャンセル料の発生を伝えた際、「お前など首にしてやる」などと執拗に言われたケースがあった。GoToトラベルキャンペーン関連もあり、政府から中止指示が出たため条件変更を伝えたところ、「この屈辱と同じ思いをお前と家族にも味わわせてやる」と言われた例があった。
こういった迷惑行為を受けた人の約半数(49%)が「毅然と対応した」としているが、その後も不快感が続いたり仕事への意欲が低下するなどメンタル面への影響が継続したという。しかし全体の約半数(54%)が、職場では対策が特にされていない、またはわからないと回答した。
航空連合は会社側に対し、従業員の相談に応じて適切な対応ができる体制整備等についての点検やさらなる検討を求めている。
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