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SDGs学習ツアーに需給ギャップ 東京都の実態調査 自治体の6割が「取り組む予定なし」

2023年3月6日 12:00 AM

 東京都と東京観光財団は、小中高生が地域の環境・文化・経済などが学べるツアー(SDGsスタディーツアー)の実施を通して、サステナブルツーリズムの推進を目指している。その一環で行った都内の実態調査で、市場(保護者・生徒・学校)からツアー参加に強い意欲が示された一方で、区市町村と観光協会は取り組む予定はないとする回答が多かった。事業者の着地型旅行商品や教育旅行でも、SDGs 関連商品の割合や旅行の実施例は少ない模様で、市場の意向と差が見られる。

 調査は22年5~8月にアンケートやヒアリングで実施。SDGsスタディーツアーへの参加は保護者の71.1%、生徒の65.0%、学校関係者の80.7%が意欲的で、なかでも伊豆諸島・小笠原諸島での自然に関する学びに期待が高い。

 区市町村・観光協会は77.9%がサステナブルツーリズムへの取り組みの必要性を感じている。しかし、58.8%が現時点で取り組む予定はないと回答した。SDGsを学べるツアー・イベントも41.2%が実施したことがなく、予定もないとした。29.4%が推進へ何をすればよいかわからないとも回答している。着地型旅行はSDGsやスタディーツアー関連のキーワード検索で調査したが、ヒットする商品は少なかった。

 SDGsを学べる資源を生かしたイベントは58.8%の地域で実施されている。ただ、必ずしもSDGs との関連が整理・自覚されていない。実質的に学びが得られるツアーも多数あるが、担い手不足や予算の不安を抱えていた。

 これを踏まえ調査報告では、SDGsスタディーツアーは地域資源が豊富で市場ニーズも高いため、国内外の先進事例を参考にしつつ効果的に実施すれば、サステナブルツーリズムの推進につながるなどと指摘した。

【あわせて読みたい】学び旅ガイド2023 SDGsの潮流から修旅の実態まで[1] 新潟市、SDGs体験の教育プログラム 水辺環境など5テーマ 修学旅行も視野[2] 南三陸町の山でSDGs体験 森林管理の教育旅行プログラム[3]

Endnotes:
  1. 学び旅ガイド2023 SDGsの潮流から修旅の実態まで: https://www.tjnet.co.jp/2022/11/28/manabitabi2023/
  2. 新潟市、SDGs体験の教育プログラム 水辺環境など5テーマ 修学旅行も視野: https://www.tjnet.co.jp/2022/05/30/%e6%96%b0%e6%bd%9f%e5%b8%82%e3%80%81sdgs%e4%bd%93%e9%a8%93%e3%81%ae%e6%95%99%e8%82%b2%e3%83%97%e3%83%ad%e3%82%b0%e3%83%a9%e3%83%a0%e3%80%80%e6%b0%b4%e8%be%ba%e7%92%b0%e5%a2%83%e3%81%aa%e3%81%a95/
  3. 南三陸町の山でSDGs体験 森林管理の教育旅行プログラム: https://www.tjnet.co.jp/2022/03/14/%e5%8d%97%e4%b8%89%e9%99%b8%e7%94%ba%e3%81%ae%e5%b1%b1%e3%81%a7sdgs%e4%bd%93%e9%a8%93%e3%80%80%e6%a3%ae%e6%9e%97%e7%ae%a1%e7%90%86%e3%81%ae%e6%95%99%e8%82%b2%e6%97%85%e8%a1%8c%e3%83%97%e3%83%ad/