2022年11月28日 12:00 AM
JTBの業績回復が進んでいる。23年3月期中間期(22年4~9月)は営業損失が46億5800万円となり、前年同期から赤字幅が284億円縮小した。国内旅行の回復に加え、MICEや自治体の受託業務(BPO)など非旅行業が拡大し、構造改革による経費抑制も功を奏した。通期で63億円の営業黒字化を見込む。
ただ下振れ要因となりそうなのが海外旅行だ。需要が伸び悩み先行きが不透明で、山北栄二郎代表取締役社長は「海外旅行が完全回復するまでに2~3年かかる」と見通した。
売上総利益を分野別に見ると、国内旅行が130.8%増の373億円、MICE・BPOが87.7%増の378億円と貢献した。一方、水際対策の影響を受けた海外旅行は5.5倍に拡大したものの31億円、訪日旅行は82.1%減の8億円だった。下期は国内旅行がコロナ禍前の19年度を上回り、訪日旅行は約4割まで回復すると見込む。ただ、海外旅行は難しい要素があるとし、見通しを示さなかった。
海外旅行は誰もが手を出せるものではなくなった。同社の場合、海外旅行は円安の影響や物価高で旅行代金が2~4割上昇しているという。国際線座席供給量の回復が4割程度であることも高騰要因となっている。現在の客層は、価格志向の旅行者の比重が少なく、価格に左右されない人やハネムーンなど目的が明確な人が中心だ。
それでも、「非常に強い需要は感じている。需要が一定程度回復していけば座席数が拡大し、もっと広い層が行ける価格帯を設定できるような好循環を期待している」(山北社長)。
当面の重点対策として、ダイナミックパッケージによる自由度の高い商品展開に重きを置く。添乗員同行型など企画性の高い商品、カスタマイズ型商品への対応力も上げていく。
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