2022年9月5日 12:00 AM
コロナ禍を経ていまなお低迷するクルーズ市場の再興を目指し、消費者向けキャンペーンがスタートした。JATA(日本旅行業協会)、JOPA(日本外航客船協会)、邦船3社が協働で取り組む初の施策。クルーズは大型客船で感染者が出て以来、負のイメージが付き、リピーターであっても需要が戻っていない。状況を打破するため、体験の機会を増やし需要の底上げを図る。国際クルーズ再開に向けた機運を醸成する狙いもある。
10~12月のクルーズ旅行商品を取扱旅行会社で申し込むと、次回の国内クルーズで使えるペア旅行券20万円分を抽選で各社が3組に提供する。対象は3社の計12クルーズで、飛鳥Ⅱの乗船で得た旅行券がにっぽん丸で使えるなど、競合する船社が垣根を越え連携する。
JATAアウトバウンド促進協議会クルーズ旅行推進部会の松浦賢太郎部会長(クルーズのゆたか倶楽部代表取締役社長)は、「いま一度クルーズに振り向いてもらい、1日も早くかつての輝きを取り戻したい」と語る。日本のクルーズ人口は19年に過去最高の35万7000人を記録し、さらなる成長が期待されていた。しかし、国内クルーズは回復がままならず、外国に寄港する国際クルーズは国の許可が出ず再開に至っていない。
国際クルーズ再開の壁となっているのは、入国者数制限など水際対策だ。特に数百人から数千人が乗船するクルーズでは、港の検疫体制が追い付かない。ここにきて入・帰国時の陰性証明は条件付きで免除され、入国者数も引き上げられたが、空港での対応が優先され、課題は依然多い。松浦部会長は「できることから取り組む。外国船も含めオールジャパンの施策にもっていくのが次のテーマ」としている。
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