2022年8月29日 12:00 AM
新型コロナウイルスの流行を受けて急減した日本発国際線定期旅客便の運航は回復傾向が進んでいる。22年夏期は前年の約1.8倍となる20万席台に乗せた。ただ、ロシアによるウクライナ侵攻が欧州線を中心に需要回復への新たな阻害要因ともなった。
本誌が6月初旬に実施した22年夏期航空座席調査で、日本発国際線定期旅客便による提供座席数は前年同期比76.9%増の20万2809席と、ようやく20万席台まで回復した。ただし、本調査での提供座席数は、各使用機材における当該航空会社の標準的な座席数をベースに計算したもので、ソーシャルディスタンスの確保や予約受付人数の制限等による実務上の提供座席数の減少があっても考慮に入れていない。
運航航空会社数は日系企業を含め57社(自社機材で運航していないコードシェアのみを含めると58社)。直近の21年冬期調査に比べると6社増えた。エアインディア(AI)、エアプサン(BX)、チャイナエアライン(CI)、香港航空(HX)、アエロモンゴリア航空(MO)、オーストリア航空(OS)、バンブーエアウェイズ(QH)、ティーウェイ航空(TW)、ベトジェットエア(VJ)、ベトナム航空(VN)の10社がラインナップに加わった。このうち日本初乗り入れはアエロモンゴリア航空とベトナムのバンブーエアウェイズ。一方、ブリティッシュ・エアウェイズ(BA)、スカンジナビア航空(SK)、ロシアのオーロラ航空(HZ)、アエロフロート・ロシア航空(SU)は運休となった。
57社のうちローコストキャリア(LCC)はエアプサン、スプリングジャパン(IJ)、ジンエアー(LJ)、スクート(TR)、ティーウェイ航空、ベトジェットエア、ジップエア・トーキョー(ZG)、セブパシフィック航空(5J)、チェジュ航空(7C)、春秋航空(9C)の10社。計1万9709席で前年同期比317.3%増、シェア9.7%と、ここにきてLCCも運航再開や増便等の動きが目立っている。
路線別でトップはアジア線、2位は太平洋線、3位は欧州線の順で21年夏期調査時、同冬期調査時と変わらない。ただし、コロナ禍からの回復傾向が見られるなかで、アジア線は大幅な伸び、太平洋線も堅調に推移したが、欧州線はウクライナ情勢によりルート変更や減便・運休を余儀なくされ、伸びは小幅にとどまった。4位の韓国線は大幅な伸びを示したが、ゼロコロナ対策で上海のロックダウンなどが続いた中国は、ほぼ前年並みといえるレベルにとどまった。
空港別では、成田が順調に提供座席数を伸ばしてシェアは59.0%に。21年夏期調査比で2.6ポイント増、同冬期調査比で1.4ポイント増となった。それに比べ羽田は座席数があまり伸びなかったが、関西は2倍、中部と福岡は4倍となった。
航空会社別では日本航空(JL)が20年冬期調査時から4期連続で1位に。2位全日空(NH)、3位シンガポール航空(SQ)、4位ユナイテッド航空(UA)の順は変わらないが、ジップエア・トーキョーがLCCとして初の太平洋線に就航するなどで提供座席数を伸ばし5位にランクイン。6位フィリピン航空(PR)、7位タイ国際航空(TG)、8位ベトナム航空(VN)、9位ベトジェットエアとアジア勢が上位を占めた。
【データ詳細は週刊トラベルジャーナル8月29日号で[1]】
【あわせて読みたい】21年冬期の日本発航空座席数、約1.5倍の14万席に増加[2] 21年夏期日本発航空座席数、2.7倍の11万5000席に回復[3]
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