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『地球の歩き方ムー 異世界(パラレルワールド)の歩き方』 老舗ガイドブックの健闘に喜々

2022年4月25日 12:00 AM

地球の歩き方編集室編/地球の歩き方刊/2420円

 コロナ禍で海外旅行に行けないということは、海外旅行ガイドの需要はないし、制作側も取材に行けないので内容更新できないということである。そもそも、ガイドブックの需要が減少し続けているといわれていた現状である。20年11月、ダイヤモンド・ビッグ社が『地球の歩き方』を学研プラスに譲渡すると発表したとき、(ついに)と一瞬思ったのが正直なところだ。

 こういう流れで消えていく媒体は多い。歩き方よお前もか……と心配していたら、全然頑張っているのだった。

 歩き方に限ったことではないが、ガイドブック業界というのは地域ごとにたいていベテラン制作陣がいて、長年の取材を通じて町ネタや写真の豊富なストックを抱えている。もちろん地理や歴史にも詳しい。これを活用し再編集して世に出したのが『旅の図鑑』シリーズ。グルメ、城、巨像、祭りとさまざまな切り口で世界を紹介、さらに取材力を生かし、東京や京都(私もコラム書いてウチの宿も載ってます!よろしくです!)編を送り出してきた。

 なんといっても話題となったのが、今回ご紹介する『歩き方ムー』。オカルト情報誌『ムー』とのコラボで、2つの名前が並ぶだけで面白そうだし、中身も予想を裏切らない濃さなのがさすがだ。ピラミッドやストーンヘンジ、縄文遺跡など、業界の皆さんなら世界各地で出合ってきたはずの数々の“謎”をムー的視点で真面目に紹介。情報も掲載され、しっかりとした「地球の歩き方」になっている。解説も豊富で、読み応え十分、売れ行きも好調だそう。

 読み物としても楽しいし、きっと近いうちに開放される(開放されてほしい……)海外観光旅行のツアー造成のヒントにもなりそうな1冊。ああ、早く旅に出たいですねえ。

山田静●女子旅を元気にしたいと1999年に結成した「ひとり旅活性化委員会」主宰。旅の編集者・ライターとして、『決定版女ひとり旅読本』『女子バンコク』(双葉社)など企画編集多数。最新刊に『旅の賢人たちがつくった 女子ひとり海外旅行最強ナビ』(辰巳出版)。京都の小さな旅館「京町家 楽遊 堀川五条」「京町家 楽遊 仏光寺東町」の運営も担当。