22年の国内旅行者、倍増の予測 JTB推計 物価上昇が懸念材料

2022.03.28 00:00

 JTBは22年(1~12月)の旅行動向見通しで、国内旅行者数は前年比97.0%増の2億6000万人になると推計した。20年比で72.9%増、19年比では10.9%減の水準。新型コロナウイルスの感染がある程度抑制された状況が続いた場合の想定で、年初はオミクロン株の流行で出鼻をくじかれた形だが、これが落ち着いた後の旅行需要回復に期待を寄せている。

 コロナ禍の影響は残るため、昨年に引き続き少人数での旅行が中心となり、感染症対策をしたうえで居住地のある都道府県内やその周辺への近距離旅行を楽しむ傾向が続くと予測する。感染状況が落ち着き安定した状態が続けば、遠方への旅行も増加が見込まれるため旅行単価は上がり、旅行総消費額も高くなると見る。ただし、あらゆる物価が上昇傾向にあり、家計の負担が増すことで、旅行消費に水を差す恐れもあると指摘している。

 旅行需要喚起につながる年内の大型イベントは、3年ぶりに瀬戸内国際芸術祭が開催されるほか、長野県で7年ぶりの善光寺御開帳と諏訪大社御柱大祭が行われる。開業予定の話題の施設では、東京ディズニーリゾート・トイ・ストーリーホテル(4月5日)や愛知県のジブリパーク(11月1日)などがある。

 国内旅行のトレンドとして、観光業界全体で二酸化炭素(CO2)排出削減を考慮した旅行の品ぞろえを増やしたり、宿泊施設の歯ブラシを再資源化が可能なものに置き換えるなど、SDGs への貢献に自動的に取り組めるサービスの提供が始まっている。自然との触れ合いや文化交流、アクティビティーの要素を含むアドベンチャーツーリズムも、地域の持続可能性や地域貢献を重要視する旅行として注目されており、機運が高まると見ている。