Travel Journal Online

ロシア排除、拡大止まらず 旅行先除外や投資中止 予約への影響じわり

2022年3月21日 12:00 AM

エアビーアンドビーはロシアとベラルーシで活動を停止し、 ウクライナ難民に滞在先提供を呼びかけ

 ウクライナ侵攻を受け、グローバル企業を中心に旅行関連事業者のロシア撤退が広がっている。航空券流通の要であるGDS3社が3月初旬にアエロフロート・ロシア航空の運賃掲載を停止すると、エクスペディアなどOTA(オンライン旅行会社)大手がロシア発着ツアーを中止。ホテルチェーンも開業計画を一時停止した。観光産業全体に及ぼす影響はまだ大きくないが、長期化すればコロナ禍からの回復を妨げかねない。

 一大旅行企業グループの独TUIは、TUIロシアと交わしていたブランド使用契約を終了した。昨年に保有株式を売却する一方、ロシアやベラルーシなどで「TUI」の使用を認めてきたが、地位に影響しかねないと判断した。英国でもパッケージツアー実施会社が行き先を他に振り向ける措置が相次ぐ。

 有力クルーズブランドを傘下に持つカーニバル・コーポレーションも寄港地からの除外を検討。最大ホテルチェーンのマリオット・インターナショナルはモスクワ事務所を閉鎖し、新規開業・開発計画をすべて一時停止した。

 ブッキング・ホールディングスによると、2月の予約宿泊日数は19年とほぼ同じ水準に回復したが、ウクライナ侵攻後、3月6日までの予約は約10%減に転じた。IATA(国際航空運送協会)によると、ロシアの国際線市場は21年に世界の1.3%のシェアにとどまるが、空域の閉鎖が主に近隣諸国の旅行に悪影響を与えると予想する。

 ロシア非難の動きは大きなうねりとなっている。世界観光機関(UNWTO)は加盟停止を議論する臨時総会の開催を決定。ウクライナ侵攻は「経済発展、国際理解、平和に貢献しながら、観光を促進・発展させる」と定めた規則に反すると断じた。

【あわせて読みたい】ロシア軍事侵攻、観光にも影 有望市場の損失に懸念 旅行先から除外も[1]

Endnotes:
  1. ロシア軍事侵攻、観光にも影 有望市場の損失に懸念 旅行先から除外も: https://www.tjnet.co.jp/2022/03/07/%e3%83%ad%e3%82%b7%e3%82%a2%e8%bb%8d%e4%ba%8b%e4%be%b5%e6%94%bb%e3%80%81%e8%a6%b3%e5%85%89%e3%81%ab%e3%82%82%e5%bd%b1%e3%80%80%e6%9c%89%e6%9c%9b%e5%b8%82%e5%a0%b4%e3%81%ae%e6%90%8d%e5%a4%b1%e3%81%ab/