2022年3月7日 12:00 AM
観光庁が第2のふるさとづくりプロジェクトとして関係人口の拡大に力を入れるなか、市場の存在を裏付ける需要動向がリクルートの調査で明らかとなった。生まれ育った地元以外で「帰省しているかのような感覚を感じられる場所」を求める人が56%と過半数を占め、そのうち39%はコロナ禍でそうした心情が強まっている。沢登次彦じゃらんリサーチセンター長は「“こころの故郷”を持ちたいというニーズが高まっている」とし、観光を目的にしない新しい旅の形として地域活性化につながる可能性を指摘した。
調査は全国の18~59歳の男女約6000人に実施した。コロナ禍で心情が高まった背景には、感染拡大で帰省できない状況に加え、3人に1人が実家が都会の人も含め帰省できる地元がないことにも起因する。旧知の人との親睦が減り、新たな出会いやつながりを求めている。
行き先は、54%がこれまで訪れたことのない場所への訪問意欲を示し、47%がそのための旅行プランや機会の提供に興味があると回答。旅行事業者や関係人口を呼び込みたい地域にとっては商機をうかがわせる。こうした需要を先取りし、リクルートは昨年10月から、アプリマガジンの週刊じゃらんで「はじめまして帰省」と銘打ち、帰省を新しい旅行の形として発信する試みを開始。各地の魅力を紹介している。
こころの故郷を訪れる旅に興味を示す層は二拠点居住や移住への興味も高い。池本洋一SUUMOリサーチセンター長は、体験型旅行などを入り口に地域を複数回訪れるリピーターとなった後、地域づくりの担い手となる可能性を指摘。地域側は、宿など単体ではなく街全体での受け入れと交流に取り組む必要性があるとしている。
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