2022年1月24日 12:00 AM
東京商工リサーチ(TSR)によると、21年の旅行業の倒産は前年比19.2%増の31件と2年連続で前年を上回り、7年ぶりに30件を超えた。このうち、コロナ禍が起因した倒産は全体の約8割を占める25件で、収束の見通しが立たないコロナ禍が旅行業に深刻な影響を与えている。
全国の企業倒産が1964年に次ぐ低水準となったのに対し、コロナ禍の直撃で旅行需要の回復は遠く、経営体力の乏しい中小・零細企業を中心に息切れが増えた。負債1億円未満、従業員5人未満の倒産がいずれも約8割を占める。オミクロン株の感染急拡大で外国人の入国制限が当面2月末まで延長され、GoToトラベル事業の再開も不透明ななか、TSRは「コロナへの対応策次第では、旅行業者のあきらめ倒産が増える可能性が高まる」とみている。
一方、宿泊業の倒産は27.1%減の86件と100件を割り込み、2年ぶりに減少した。政府等による金融支援策も倒産の抑制に一定の効果を表しているとみられ、TSRは「なんとか踏みとどまっている企業が多い」と推測する。倒産件数は減少したものの、コロナ禍関連の倒産は過半数の47件で、旅行業と同様、情勢を色濃く反映している。
負債総額は、旅行業が85.5%減の43億2300万円で2年ぶりに前年を下回った。20年は過去最大となるホワイト・ベアーファミリーの大型倒産(負債278億円)があったが、21年はハートフルインターナショナル(9億5000万円)が最大で、大幅に減少した。
宿泊業は140.6%増の1396億円で2年ぶりに前年を上回った。負債が1000億円を超えたのも2年ぶりで、リゾートホテル運営等を手掛ける東京商事の大型倒産(1004億8300万円)が負債総額を押し上げた。
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